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客席放浪記

ヨチヨチSWAN

2017年2月26日
お江戸日本橋亭

 三遊亭白鳥の挨拶のあと、弟子の三遊亭ぐんまの新作落語。 高校時代はレスリング部だったそうで、その入部から、地獄の合宿、そして試合までを落語に仕立てた。白鳥が客受けするように手直しをしたというだけあって、実に面白くできた噺。クライマックスになる試合を面白くするための伏線を、しっかり合宿のところに仕込んであるあたり、いかにも白鳥らしい作り。しかも最後は座布団芸まで飛び出した。前座になってまだ五ヶ月とは思えないほど喋りも達者。期待しちゃうね〜。そして白鳥の指導力もたいしたものだ。

 白鳥の一席目は『落語の仮面』第8話のネタおろし、『落語の仮面8 高座への螺旋階段』。立川あゆみとの対決に向けて、三題噺オーデションを受ける三遊亭花。出されたお題は「露天風呂、生前退位、皮財部」。この三つから花が作った噺とは・・・。これが白鳥流の三題噺作法の具体的な解説になっているあたりが面白い。しかも三題噺を作るのに必要なのは、瞬発力、、創作力、アドリブ力だとするあたりも、さんざん三題噺をやってきた白鳥ならではの考えが出ている。
 このオーデションに参加した強敵は、実在する女流落語家と女流講談師。第二関門の問題は「毒」をテーマにした噺を作り、「これが私の切り札」という台詞を入れるというもの。強敵ふたりを倒し、いよいよ次は、あゆみとの対決といったところで、盛り上がってきたぞ。

 もう一席は、私も十年前に一度聴いたことのある『明日に向かって開け』。銀行強盗を描いた映画『明日に向かって撃て』から、銀行強盗ものを発想した噺で、十年前に聴いたときは。噺の前にこの噺の三つのポイントについて説明してから始めていた。その三つとは、新作落語だけど古典落語、仕種は江戸前、くだらないけど人情噺というもの。
 最新式の防犯システムを施した金庫を破ろうと銀行に侵入した泥棒。金庫番の男を巻き込み、金庫を開けようとする。この金庫、実は人格がある(しかも女性)。結局警察に取り囲まれてしまうが、金庫は泥棒と金庫番を中に入れるや、足が生えてドシンドシンと逃げ出す・・・って、以前聴いたときにも唖然としたけれど、今回もびっくり。確かに人情噺の要素はあるのだが、白鳥の口調では人情噺にならない。アハハハハ。これ、柳家三三にでもやらせたら面白くなると思うけど・・・三三、やらないだろうなぁ。

2月27日記

静かなお喋り 2月26日

静かなお喋り

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