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客席放浪記

2012年6月6日 白酒ばなし(横浜にぎわい座)

 開口一番前座さんは金原亭駒松『道潅』。頑張ってね。

 今日はAKB48の総選挙の日。テレビで中継するそうだが、落語を聴きに来るような人は、あまりAKB48に興味がないらしい。私もそうだもん。勝手にやればいい。前田敦子と大島優子の関係を、白酒自身の経験から、角川映画、薬師丸ひろ子と原田知世の関係になぞらえて、笑いを取っていた。歴史は繰り返す。なんだかマスコミに踊らされているだけのような気がするが。

 「昔のアイドルと言いますと、花魁ということになりまして・・・」という無茶な繋ぎで、笑いが起こる。桃月庵白酒の一席目は、廓噺になりそうだ。はて『明烏』か? 『明烏』はここで3月に演ってるし、じゃあ『品川心中』、『居残り』、『三枚起請』、『五人廻し』、『お見立て』、それとも『紺屋高尾』あたりかと思ったら、『山崎屋』。笑いが取れて、楽しくなる噺。なるほど。アイドルと結婚するのもひと波乱だ。

 仲入り後は、先日WOWOWでようやく観た『落語物語』の主役(級)である柳家わさび
 白酒が例によって、「あの映画が頂点で、そのあとは・・・」とこき下ろして笑いを取っていたが、わさびもマクラも、そのあとの貧乏生活をマクラに。
 「ひとりで(落語の)稽古をしていると落ち込んでくるので、人が笑っている写真を目の前にたくさん置きまして、笑い声のBGMをかけながら演っていたら、なんだかバカにされているようで」と『だくだく』に入る。貧乏バーチャルというマクラから、何も無い部屋に家財道具の絵を描いてもらう『だくだく』に繋げる構成はナイス。

 桃月庵白酒の二席目は、先月、国立演芸場の『白酒ひとり』でもかけていた『笠碁』。これはそのときに詳しく書いたから、そちらを参照してもらいたい。私が今まで聴いた『笠碁』の中でも、白酒のものはトップクラスの面白さ。
 隠居したジイさんが、よく降る雨にまで小言を言っている。「よく降るねえ。だからってこんなに降る事は無いだろう。・・・降るならね、ザーっと降らしちゃえばいい! いつまで降ってるんたろうねえ!」。こういう、八つ当たりが落語に出てくる老人の姿。
 「えっ? 碁会所へ行けばいいって? 相手が強すぎるの! 最初っから向こうは薄ら笑いを浮かべている」

 私も落語に出てくるジイさんみたいになるのかなあ。

6月7日記

静かなお喋り 6月6日

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