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客席放浪記

白酒ばなし

2015年6月15日
横浜にぎわい座

 開口一番、前座さんは、桃月庵はまぐり『元犬』。前座修業頑張ってね。

 桃月庵白酒、一席目は『茗荷宿』。茗荷を食べると物忘れがひどくなるというのは、果たして本当のことかどうかわからないが、この噺は初めて聴いたような気がする。聴いているのに忘れてしまっているのかなぁ。ウハハハハ。
 飛脚が一晩泊まった宿屋。まったく寂れた宿屋で泊り客が二年ぶり五人目という状態。百両の大金が入った箱を宿の亭主に預けるのだが、亭主が一計を案じ、茗荷を食べさせて荷物を預けたことを忘れさせてしまおうとする。夕食も朝食も茗荷づくし。茗荷の刺身に茗荷の漬物に茗荷焼きに茗荷の味噌汁に茗荷ご飯。これだけ茗荷を使った料理が並ぶのに、代表的な茗荷料理である茗荷の天ぷらがない。なぜなら天ぷらは面倒くさいからってのが笑える。
 ほとんどマンガみたいな噺だが、白酒にかかると、どの噺もマンガチックになってしまう。なんたかもっともっと面白くできそうな気がするなぁ。

 二席目は『あくび指南』。演者によって、いろいろなあくびを入れ込むことがあるが、白酒は、茶席のあくび、銭湯のあくびなんていうのを入てくれる。三年前に聴いたときは、芝居のあくびっていうのもあったけれど、今回はこれはなし。あくびを教えるという発想自体が、これもマンガなんだけれど、白酒にかかるとあくびの師範が本当にマンガに出てくる登場人物になる。

 二ツ目をゲストの形で起用。柳家ほたるはマクラで、以前はネコに興味がなかったのが、岩合光昭の『世界ネコ歩き』を見てから、すっかりネコ好きになってしまったと語り、『猫の皿』へ。ネコが餌を食べている皿が価値のある皿だと見抜いた男が、皿をくれと茶店の亭主に言うところ。亭主はくどいくらいに代わりに木の皿を渡そうとする。そこが亭主が、知ってわざといじわるで言っているようなのが可笑しい。これはいい『猫の皿』を聴いた。

 白酒、トリのネタは『大山詣り』。町内の連中が年に一度、大山詣りに行く噺だが、白酒にかかると、この行事、高校生の修学旅行を思わせる。他校の生徒に喧嘩を売るレベルが大人になって酒呑んで暴れるといった形に発展したよう。白酒が演る噺は、登場人物がほとんど小学生レベルといった感じになる場合が多いが、この噺はさすがに高校生レベル。しかし程度の悪い高校のようで。

6月16日記

静かなお喋り 6月15日

静かなお喋り

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