白酒ばなし 2015年8月11日 横浜にぎわい座 開口一番、前座さんは桃月庵ひしもちで『道灌』。前座修業頑張ってね。 桃月庵白酒、一席目。「なんだ八っつぁん、ご立腹だな。アベシンゾウか?」と、突然のツカミから入った『短命』。短命の意味をご隠居さんがさりげなく説明しても、なかなか理解しない八っつぁん。「夏休みでお子さんもいるから遠まわしに言っているのに〜。茶碗を差し出した手と手が触れるだろ。そしたらお前はご飯を食べるか?」「・・・食べますね。次いつ食えるかわからないから」「そんな貧乏なことを言っているんじゃない。ほら男と女が夜することを昼間からするんだよ」「・・・夜なべ?」。どうしても貧乏から離れられないらしい。アハハハ。 二席目は、昔から得意にしている『四段目』。私は白酒は子供が出てくる噺が上手いと思い込んでいたのだが、今や何をやっても上手い。それでもやはりこの『四段目』は今聴いても絶品だ。お使いに行っていたと偽って芝居を観に行ってのがバレた定吉の表情がバツグンに可笑しい。腹を減らせて「新聞に、横暴な雇い主、いたいけな使用人を餓死さすって載るぞー!」 鈴々舎馬るこは『目黒のさんま』を始めたのだが、「えっ? これって地噺?」と思うくらい脱線が多い。自分が体験した、トンビにチーズバーガー事件、拾ってきた子猫、換気の効かない焼肉屋なんていう話題がポンポンと入って来る。弁当を持たずに出てきてしまった家来たちの失敗の件で、落語家の弟子のしくじり話がズラーッと並ぶ。「こんなしくじりをしても破門にはなりません」。いや〜、凄いしくじりっていろいろあるもので・・・。これはきっと『落語暴露本の世界』でも触れている内容なんじゃないかと思う。普通、落語家は弟子にしたら、滅多な事では破門にしないものなんだろうな。 白酒、最後の一席は『青菜』。あれ? 『短命』をやったあとで『青菜』って、なんとなく似た噺みたいだけど、自分の会ならいいのかも。白酒はおかみさんの方が積極的に、この隠し言葉ごっこをやりたがるのが珍しい演出。「そのなをくろうほうがんはわかるけど、その前の鞍馬より牛若丸が出でましては何? 枕詞?」 いつも思うことだが白酒の描く人物はみんなカワイイ。『四段目』の子供あたりがカワイイのは当然として、『青菜』のおかみさんまでカワイイんだよなぁ。 8月12日記 静かなお喋り 8月12日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |