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客席放浪記

毎日新聞落語会 渋谷に福来る 2017夏一番〜桃月庵白酒 25周年記念落語会的な〜

2017年8月23日
渋谷区文化総合センター大和田・さくらホール

 この毎日新聞の落語会のタイトルは、いつものことながら、どうも好きになれない。何といっても長すぎる。それに必ず付ける「的な」という言葉が生理的に嫌だ。このタイトルを考えている人は、どう思っているのだろう。そして反対意見もないのだろうか? まあどうでもいいことだけれど。
 それにいったい何だって白酒の芸歴25周年記念なんて、取って付けたタイトルなんだ? それでもって実体はというと、同日発売の白酒のCD発売イベントと即売会が目的。なんだか25周年のお祝いで踊っいるというより、お客さんの方が踊らされているような印象がしてまうのだが・・・。
 とかなんとか言いながらも、白酒、白鳥、彦いち、一之輔と、人気者ばかり集めたとあって、満員御礼だし、こうして私もチケットを買ってしまったわけだし。

 まずは口上ということで、緞帳が上がると本日の出演者が板付きで横一列に座っている。上手から白鳥、白酒、彦いち。そして下手が司会役の一之輔という並び。真打昇進披露口上と違って、若手だけだから、もう自由な雰囲気。白鳥が袴を穿いて口上の席にいるなんていうのは、なかなか見られない光景。その袴を家から持ってくるのに使ったのは、ネットで十枚307円で買ったという風呂敷。これがどう見ても高級弁当を包むペラペラの布。落語家なのに風呂敷を持っていないというのも驚きだが、十枚307円でネットで買ったというのも可笑しい。
 あとは三人で白酒のことを上げたり下げたり言い題放題だが、白鳥が喋ったことが逆にアダになって、白鳥の非常識さが、また暴露されたりして、大騒ぎ。白鳥が一枚加わるだけで、話がとんでもない方向に行ってしまうのが楽しい。

 25分もやっていた口上が終わり、まずは春風亭一之輔が上がって『代書屋』。一之輔の『代書屋』は初めて聴いたな。やはり一之輔にかかると、こういう噺もたちどころに面白くなる。一之輔が考えたギャグがポンポン出てくる。そして客と代書屋がほとんど喧嘩してるんじゃにいかというくらいに言葉の応酬がエスカレートしていく。

 三遊亭白鳥
は、HPでネタ出ししていた通り『黄昏のライバル 白酒編』。冒頭の「お前さん、起きておくれよ。河岸行っておくれよ」と起こすところや、おでん屋のオヤジがビールを注がれて「よそう、夢になるといけねえ」とつぶやくとか、『芝浜』のパロディがドカンドカン受ける。そういえば2014年暮の鈴本演芸場の、演者日替わりの『芝浜』。白鳥だけはリスペクト禁句で『黄昏のライバル』で上がったっけな。鈴本の人が必至で「今日は『芝浜』ではありません」と入口で叫んでいた。

 仲入り後、林家彦いち。白酒は私生活でも彦いちのいい話し相手だそうで、このときだけはもっぱら聞き手役。また白酒が不思議と聴き上手でもあるらしい。彦いちが大学の空手部の先輩のことを話して、白酒がそれを面白がったことから生まれたらしい噺が『熱血!怪談部』。もうずいぶん昔からやっているが、少しずつ変化したような気がする。今日聴いたサゲも以前のものを、もうひと押ししたもののような気がする。

 口上でみんなから「手を抜くときは『松曳き』か『茗荷宿』」と言われ、「あと『ざるや』」と言い足した桃月庵白酒。さすがにここでは手を抜くわけにいかない。何をかけるのかと思ったら『井戸の茶碗』。悪い人がひとりも出てこないこの噺で、自らめでたい席を締めくくった。

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