2012年3月9日白酒ばなし(横浜にぎわい座) 開口一番前座さんは、古今亭きょう介『手紙無筆』。頑張ってね。 桃月庵白酒、一席目。自分の落語会のお客さんの女性率が少ないといった話題から入る。高校までは野球少年、大学で落研と、服装に興味が無かった日々から一転、女性にモテたい一心から原宿に、おしゃれな服を買いに行った学生時代のエピソードをマクラに『明烏』へ。 この噺、本ばかり読んで、真面目一方の息子に吉原を体験させようと思う親心というのも笑ってしまうが、お稲荷様におこもりをすると騙されて行く若旦那というのも正に落語の世界。「なりが悪いと御利益が薄い」といい着物を着せられて出される。ははあ、女性にモテたくて原宿に洋服を買いに行ったというマクラは、ここに繋がるのか。 『明烏』のウブな若旦那、白酒の手にかかると、もう幼児なみになってしまう。帰りが遅くなった言い訳が、蝶ちょを追いかけて行ったら見知らぬ町に行ってしまって、八歳の子に帰り道を教えてもらったと言い出す始末。茶屋に上がっても、なんのことだか理解できない。口ずさむ歌が、♪一年生になったぁーら、友達百人できるかな そんな若旦那も、ひと夜の体験で変わってしまう。「書を捨てよ、町に出よう」だもんね。 仲入り後は、古今亭志ん公。花粉症に悩まされているとのことだが「いい飲み方を見つけまして、お医者さんが処方してくれた薬をお酒と一緒に飲むんです。鼻がスッと通って、いいんですが、たまに幻覚を見ることがある。白酒師匠が細く見えたりします」と『棒鱈』へ。ははあ、結末のところで、くしゃみが出てくるので、こんなマクラだったのかな? 桃月庵白酒、二席目。楽屋での各師匠方の過ごし方から、楽屋噺好きの春風亭勢朝のエピソードを披露してくれる。勢朝はいかにも、という、よく作り込んだ楽屋噺を考える人で、普段は楽屋でそんなどこまでが本当で、どこからが作ったものかわからない面白い話をやっているらしい。客席でもそんな楽屋噺を聴くことができる落語好きにはたまらない噺家さんだ。 そこから『お茶汲み』へ。上手い身の上話を考えた花魁を、逆にからかいに行った噺で、あとから考えるとうまいマクラだったなあとニヤリ。 家に帰ってメールを見たら、こっそり勢朝師匠が配信してくれているメールが届いていた。時事問題を茶化したメールが多いのだが、このところ楽屋噂噺が多くなっている。これが面白いんだなあ。 3月10日記 静かなお喋り 3月9日 このコーナーの表紙に戻る |