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客席放浪記

第407回花形演芸会

2013年4月21日
国立演芸場

 開口一番の前座、山遊亭くま八が、お馴染みの美術館の小噺をやっている。ある女性が美術館に並んだ絵を見て、「これはピカソでしょ」「いいえ、それは鏡です」というやつ。「鏡がなんで美術館にあるのかはわかりません。教わったとおりに演ってるんですが」 そこから『雑俳』。前座修業頑張ってね。

 林家たけ平。「磁石の入ったネックレスって身体にいいんですってね。ところがなかなか効果が表れない。時期(磁気)が来たら効いてくるそうです」 ネタは『扇の的』。『源平盛衰記』の一部の地噺。自由に語る語り口が気持ちいい。

 古今亭文菊『稽古屋』。お師匠さんが子供に踊りの稽古をつける一人称が可笑しい噺。「ほら、そこで、はすっかいになって。はすっかいってわからない? 寄席行くと円菊さんという人が演ってるわよ」 去年亡くなってしまったんだよなぁ。

 キャラメルマシーンは、ふたりでやるマジック。ナポレオンズとちょっと違うのはボケとツッコミがはっきりしているところ。マジックとコミックが結合している。ネタも出し惜しみしないステージ。明らかにネタがわかるものと、まったくわからないものが混在していたりする。スピーディだし、このマジックは寄席に欲しい感じ。

 桂文雀『宿屋の富』。この噺、よく考えると詐欺師の噺なんだよねぇ。一文無しの男が、宿屋に泊って飲んだり食ったりして、ずらかっちまおうっていう噺。序盤で大法螺を吹くとこなんかまさに詐欺の手口なんだが、これに引っかかるのが落語。あまりに大法螺過ぎて気が付かないわけがないところがまた、落語長屋の住人。二等が当たるんだという、わけわかんない人も落語長屋の住人。それを浮世を忘れて楽しむのが我々ってわけだ。

 仲入り後は国本武春。浪曲『若き日の大浦兼武』。これ、久し振りに聴いたなぁ。10年くらい前に、横浜にぎわい座で聴いた。あのときは『大浦兼武・出世の美談』と言っていた。美談なんだかどうだか、変な噺なんだが。

 今日のお目当ては、実はニッチェ。コントを期待していたのだが、残念ながら漫才。デブ版テレビドラマと、田舎に泊まりたいネタ。ちょっと残念だったが、最後にふたりで『ワインディングロード』をアカペラで歌ってくれた。ホント歌上手いね。

 トリの古今亭今輔は、たまたま昨日も別のところで聴いた『ハードボイルドのカリスマ』。インタビュー取材に答えるハードボイルド作家が、若いころの思い出さえも創作の小説のようにしてしまう、その現実とのギャップが可笑しい。話しているうちに次回作『バウムクーヘンの女』の構想が出来上がってしまう。二日続けて聴くと、細かいところのギャグがわかって面白い。カウンターに腰掛けるというと、カウンターの椅子に腰掛けるんじゃなくて、カウンターの上に腰掛けてしまうところに今日は笑った。また何回か聴いてみたくなる。

4月22日記

静かなお喋り 4月21日

静かなお喋り

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