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客席放浪記

花形演芸会スペシャル〜受賞者の会〜

2013年6月15日
国立演芸場

 開口一番前座さんは瀧川鯉毛『まんじゅうこわい』。持ち時間が10分らしく、まんじゅうまで行かなかった。前座修業頑張ってね。

 花形演芸大賞の授賞式も兼ねた催し。

 平成24年度花形演芸大賞銀賞、三遊亭歌奴『宮戸川』。霊岸島の叔父さんの家の二階、一組しかない布団で寝ることになった半七とお花ちゃん。「ここからこっちが浦和、そっちが大宮ですからね、こっち来ちゃいけませんよ」「でも一緒になったじゃない」
 「叔父さんが仲に入りまして夫婦になり、生まれたのが男の子。小さいころから落語が好きで落語家になって、先輩を抜いて真打昇進。一之輔出世の美談でございます」 おいおい、そうだったのかぁ?

 古今亭今輔も銀賞受賞。今日は寄席での鉄板ネタ、中華十八番のマクラから『飽食の城』へ。

 同じく銀賞、母心という漫才は初めて観た。ボケ担当が女装。しかも和服。いつもこの恰好でやっているらしい。「お客様から、いらなくなったという着物や帯をたくさん頂戴しまして。・・・それで思ったのは、人は本当にいいものはくれないものだなぁと」
 ネタは歌舞伎。「歌舞伎って、一言で言うと・・・まわりくどい! こないだ観たのは、ようするに、ダメな男が親切な女を殺めるのに20分! 逃げられるだろ!」
 そこからスタバの店員が歌舞伎役者だったら、というネタ。これがなかなか形になっていて面白い。店員が客から注文を受けて、コーヒーを出すまでがやたら大仰で長いというのを見せる。この人たちの漫才、もっと観たい!

 柳亭左龍は金賞。『そば清』は師匠の柳家さん喬ゆずりか。清さんの造形も、弁当箱と梅干しの例えもそっくり。うまく自分のものにした感じ。

 仲入り後に贈呈式。挨拶に立った役員の人が、大賞を取った一之輔と同郷で、一之輔のお父さんもよく知っていると言った事から、並んでいたほかの受賞者がザワザワ。コネじゃないのかというアピール。ウハハハハ。それを受けて一之輔が挨拶の時に「このあとコネじゃないという高座をお見せします」と言ったものだから、司会の円太郎が「あのね、あなたそういう事言うから誤解されるんだよ」

 贈呈式のあとは、その橘家円太郎が一席。自慢は嫌われるよという事なのか『祇園祭』

 太神楽の翁家和助も金賞。いよいよ土瓶の曲芸に挑戦している。普通の土瓶というのはいまや生産されていないそうで、特注で普通の土瓶を200個作ってもらったとのこと。ピンでもやるようになって話術も巧みになってきている。うれしいねぇ。

 トリが大賞の春風亭一之輔
 「統一球問題ってあるでしょ。去年までは飛ばないボールを使っていたのが、今年は飛ぶボールになっていたっていうの。あれ、寿司屋に例えてみれば、『今年からシャリをタイ米にする』と言ってたのが、翌年から『うん、戻した』っていうようなもんですかね・・・違いますか。ホール落語でね・・・あの、毎月裏の国立小劇場でやってるやつですよ・・・某TBSが録画して、誰も観ていない真夜中に放送しているやつ・・・落語研究会・・・そこのお客さんね・・・言葉で表しにくいんだけど・・・ヤナ客なんですよ。二ツ目の出番なんてロビーにいて客席に入って来ない。落語はこうだと頑なになってる。絶対に笑わない。それがあるときね、そういったお客さんが浅草演芸ホールのお客さんに丸ごと入れ替わっちゃったみたいなね。『天失気』で大爆笑みたいな。そういうことかと」
 こういう事言うから誤解されちゃうんだけど、これも勢いなんだろうな。
 ネタはこれも鉄板のタガメの『青菜』。シャケの空き缶で酒呑んでるってのも凄いよな。
 当分一之輔の勢いは止まりそうにない。これからも落語界を引っ掻き回して欲しいね。

6月17日記

静かなお喋り 6月15日

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