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客席放浪記

第416回花形演芸会

2014年1月18日
国立演芸場

 開口一番前座さんは、古今亭きょう介『子ほめ』。前座修業頑張ってね。

 三遊亭司の演った『洒落番頭』は初めて聴く噺で、ネタ出ししていたので楽しみにしていた。圓窓はじめ、演っている人はそんなに多くないはずだ。
 「洒落というのは上の人に言ってはいけない。会社で上司が下の者に言って凍り付かせるもの。楽屋でも前座が上の人に言ってはいけません。しばらくして慣れてくると上の人が言ったのに、薄ら笑いを浮かべられるようになります」
 駄洒落って、そういうものかもなぁ。ウフフ。この噺は、洒落というものをまったく理解しない主人が、駄洒落好きの番頭から洒落を教わろうとする噺。上の者の凍り付く駄洒落も辛いが、洒落がわからない上の者に無理矢理、洒落を言うのも辛いという噺。わかる、わかる。

 柳家三之助『浮世床』の夢の部分をたっぷり。

 エネルギーの、少年と狂言師のコント。ふたりが、鬼ごっこ、かくれんぼ、しりとり、睨めっこ、だるまさんが転んだなど、いろいろな遊びをやろうとするが、まるで噛み合わないというパターンが続いていく。狂言師の提案した附子ごっこというのがシュール。しりとりでは狂言師が「御成敗式目」だの「武家諸法度」「生類憐みの令」などを繰り出し、これには少年、「歴史で習う長い名前ばっかりー!」 ウハハハハ、可笑しい。

 菊池まどかの浪曲『吉岡先生教壇に生く』。室戸台風で小学校の校舎が倒壊したのを身を挺して生徒の命を守って死んでいった吉岡藤子先生の実話。本当にあったのかモンスターペアレンツの挿話もあり。美談をやらせると浪曲は力があるね。

 仲入り後に立川談笑『金明竹』。談笑の場合は津軽弁バージョンだ。「祐乗、光乗、宗乗三作の三所物」が「ゆんじょ、こんじょ、そんじょ」になる。関西弁と違ってジワジワと笑いが込み上げてくる。いいなぁ、この噺、津軽弁の方が面白いと思うなぁ。ハハハハハ。「きぃが違ってる」の部分が「つぅがつがってる」に聞こえるのも可笑しい。

 ふくろこうじのクラウン芸。といってもピエロの恰好で出るわけではない。まあ、帽子にステッキは持ってて、帽子芸は見せてくれるのだが。シガーボックスのほか、段ボール芸も見せてくれた。ジャグリングも上手いね。

 トリは春風亭一之輔『藪入り』。一之輔らしい、自分の子供の様子のマクラが面白い。「子供は三歳までに一生分の親孝行をすると言いますが」と噺に入る。去年の暮れにも聴いたけれど、初めての藪入りで家に帰ってくる子供を思う父親の様子が、いかにも子供を持っている親の心境が表れているように思えてくる。どこかへ連れて行ってやりたいというところでは川崎から始まってお伊勢参りして、果ては九州をひと廻りさせたくなっている。一之輔って人情ものはあまり今まで少なかったけれど、年末には鈴本で『芝浜』もやったようで、いよいよ芸域もどんどん広がってきたようだ。

1月20日記

静かなお喋り 1月18日

静かなお喋り

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