直線上に配置

客席放浪記

花形演芸会スペシャル〜受賞者の会〜

2014年6月18日
国立演芸場

 開口一番、前座さんは柳家さん坊『牛ほめ』。前座修業頑張ってね。

 銀賞の蜃気楼龍玉。意地っ張りの江戸っ子の噺『強情灸』。こういう人、昔の江戸っ子にはいそうだね。私のおじいちゃんころの世代はそう。でも、私の父のあたりからは、こういう人は減って来たように思う。落語だからいいものの、実際は扱いにくい存在だったね。

 同じく銀賞の三遊亭萬橘。当代は四代目。三代目は77年前に亡くなっているそうだから、誰も知らない。こうなると先代と比べる人がいないから、受け継ぐ方も気が楽だ。「そうしたら、当代だって誰も知らないじゃないかと言った人がいる。それは今日、金賞を取った人」。噺は『ん廻し』

 金賞U字工事の漫才。お得意の栃木ネタ。『栃木がFA宣言して東北へ行ったら』

 噂の金賞を取った人、春風亭一之輔が、『新聞記事』。個人的に、偶然、一之輔を三日間続けて聴くことになり、その三日間すべてで『新聞記事』。聴いていて、今、自信を持ってこの噺をかけているような気がするし、きっとやってて本人も楽しいのではないか。そんな気がしてくる、飽きの来ない楽しさに満ちている。

 仲入り後に贈賞式。司会は入船亭扇辰。今回、ヨーロツパ公演中で参加できなかった、三遊亭天どんをサカナにして笑いを取る。出席しないと何を言われるかわからないのがこの世界(笑)。

 その入船亭扇辰もゲストの形で一席。ああ、『麻のれん』だ。落語って案外、目の見えない人が出てくる噺が多い。これなんかも按摩さんが可愛そうなことになる。人の手を借りたくない、借りなくても生きて行かれるという自信は大切なことだが、あまり強い態度に出てもいけないってことだね。按摩さんが枝豆を食べるところがおいしそうで、帰りにコンビニで冷凍の枝豆を買ってしまった。しかし汚らしい食べ方。目が見えないということは、きれいな食べ方というのを知らないわけだから、こういう風になるんだね。でも、おいしそう。

 金賞ポカスカジャンを観るのは久しぶりかも。今年は佐村河内守ネタを随分とやったそうで、そのうち話題が小保方晴子に食われちゃって、しかし小保方さんをネタにするのはかわいそうだと思っていたら、ASUKA。最近は、すっかりこれで営業ができると、『ASUKAのひっょこりひょうたん島』。♪海をシャブシャブシャブシャブかき分けて〜

 トリの大賞が桂吉弥『天狗裁き』。あまり臭くやらず、サラッと演って終えた。きれいな語り口だった。

6月20日記

静かなお喋り 6月18日

静かなお喋り

このコーナーの表紙に戻る

トップ アイコンふりだしに戻る
直線上に配置