第444回花形演芸会 2016年5月21日 国立演芸場 開口一番前座さんは、先日『漫談チャンピオン決定戦 圓歌杯予選リーグ』にも出ていた三遊亭歌実で『初天神』。落語の方も語り口がすっきりしている上に面白く聴かせる。流行りの、ぶっ壊れた金坊ではなく、小生意気ながらも可愛いのがいい。前座修業頑張ってね。 神田松之丞は今日も汗だくの熱演で『谷風情相撲』。マクラでの修羅場読みの伏線が、クライマックスで笑いとなって効いてくるのは上手い。 『デイ・ドリーム・ビリーバー』の出囃子で桂三四郎が出てきた。「松之丞さんのあと(の高座)は、なぜか湿度が高い」。すごい汗なんだね。 『MOMO』は、落語の『桃太郎』の改作からスタートした。父親が子供に桃太郎のおとぎ噺を聴かせると、いちいち子供が「昔々って、いったい何年のこと?」「あるところってどこ?」といった具合に訊き返す噺。あれを子供ではなく、外国人が訊き返すという具合に変えてある。さらにいくつもの日本昔噺を教えてあげると、まるで厚切りジェイソンばりに「ホワイ・ジャパニーズ・ピープル」(そうは言わないけれど)とばかりに、噺の矛盾点を指摘する。そうだよなぁ、どう考えたって犬と猿とキジと子供では鬼たちに勝てない。 『キング・オブ・コント』四年連続決勝戦進出中の、さらば青春の光。まずは「漫才をやります」と始まったのが、漫才定番ギャグ「別嬪さん、別嬪さん、ひとり飛ばして別嬪さん」。それをひねってコントのようにしてある。 続いてコント2本。 『上司と部下』は、部下が「インスバイア」「ポテンシャル」「ベクトル」といった新しい外来語を使うと、それに影響されて、真似してやたらとその外来語を使いたがる上司のコント。いそうだね、こういう人。 『マジック』は、マジックで一万円札を借りて、その移動トリックをやるつもりが、一万円札が消失してしまい、自分の財布から代わりに支払い続けなければならなくなってしまうというコント。 どちらも可笑しかった。今年こそ『キング・オブ・コント』で優勝してほしいなぁ。 雷門小助六が「座布団が松之丞さんの汗でまだ濡れてる」と言っている。アハハ。 小助六の『七度狐』を聴くのは、これが二回目。この前はまだ二ツ目で、花助だったころ。今日ははめものを入れたり、照明を使ったりの豪華版。 春野恵子の浪曲は、『神田松五郎』。この噺は何なんだろう? 身寄りのない子供を、子宝に恵まれない夫婦が引き取って育てるのだが、 この子供が喧嘩ばかりしている腕白坊主。ある日、なんで喧嘩をしたのだと尋ねたところで「♪ちょうど時間となりました〜」って、あまりに訳がわかんないよ〜。う〜、続きが聴きたい。 ホンキー・トンクの漫才。ネタがコロコロ変わっていくから、いささかせわしない漫才に聞こえてしまう。こういうのが流行りなのかもしれないが、私は漫才って、もう少し落ち着いて聴きたい。ネタとしては面白いんだけどね。とくに最初の、有名人になりたいっていうネタは好き。 トリは古今亭文菊。座布団が先ほどのとは変わった。まだ濡れてるのかな? 今日の演目は『明烏』。この人は人物の演じ分けが見事だ。この人の若旦那って、いかにもいい年をしてまだ子供のイメージ。女性も実に色っぽく演じられているし、源兵衛と多助も、確かに札付きの悪になっている。女に振られて、腹いせに甘納豆を食べるところも、やけになっている感じでいいなぁ。 今日は、落語に講談に浪曲、漫才にコントとバラエティに富んだ話芸が楽しめて良かったな。 5月22日記 静かなお喋り 5月21日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |