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客席放浪記

炎立つ

2014年8月23日
シアターコクーン

 NHKの大河ドラマにもなった作品。私は大河ドラマの方も観ていないし、原作も読んでないが、この膨大な話を芝居にするとなると、かなりそぎ落とさなければならないだろうし、おそらく原作の一部分だけ取り出して芝居にするといった方法になるのかと思った。としても、これはおそらく、軽く3時間越えになるだろうと予想していた。マチネで観たのだが、開演がなんと12時。家を出て渋谷まで行くことを考えると昼ごはんは食べられない。終演が15時半から16時となると、昼食抜きは覚悟しないといけない。それがシアターコクーンに行ってみて驚いた。12時に1幕目開始で13時10分から20分の休憩。13時30分から第2幕で、終演は14時30分。うっ、正味2時間10分じゃないか。それならば、休憩なしでやってほしかったなぁ。早く終わるんなら昼ごはんも早く食べられるんだし。

 今回初めて中二階のバルコニー席のチケットだった。この劇場に行くと、よくアナウンスで、「バルコニー席のお客様にお願いします。前かがみになってのご鑑賞は後ろの席のお客様の妨げとなりますのでご遠慮ください」と言った内容のことを言っていたが、確かにここは、これをやられると見えなくなる。今日はこういったアカウンスがなぜかなかった。そうしたら隣(前)のシートは空席。一つ空いた先の席の女性が身を乗り出して観ている。これで舞台の3分の1程度が見えなくなってしまった。まぁ、それほど大勢に影響ないので黙っていた。下から観ていて前の席の人の身体で視界が妨げられるのよりはましだ。

 家に帰ってインターネットで調べてみたら、やはりあの膨大な原作を2時間ちょっとで演るのは無理で、一部分抜粋だったらしい。しかも舞台用に脚本で大分作り変えられていたらしい。内容は大雑把に言ってしまえば、兄弟の争いから、兵をあげての戦(いくさ)になってしまう。結果は兄の軍勢の作戦勝ちだが、この闘いによって、弟は死に、多くの民が死んでしまう。兄はそれを悲しんで平和な国を作る決心をするといった流れ。

 なんか兄弟喧嘩の巻き添えを食って、人民が闘いに駆り出されて、敵味方に大量の死人が出るって、今まで世界中で繰り返されてきた戦争の縮図のような気がする。まず民を大切にしなければいけないって結論って、「遅ぇーよ」と言いたくなってくる。まあ史実なんだから仕方ないけど、戦になる前に当人同士で収めろよってことだよな。

 主演は、片岡愛之助と、V6の佐藤健。なるほど女性客が多い。やはりイケメン・タレントを使って女性客を取り込もうという興行形態らしい。

 舞台は、大きなセットはなく、舞台空間を広く使っての芝居。ほとんど台詞のみで進行するから、合戦シーンなども皆無。そのために、スペクタクルを期待すると拍子抜けする。これなら、もっと小さな劇場でやって欲しかった。まあ、たくさんの集客目的で人気タレントを使うのだから、大きな劇場になってしまうんだろうけどね。もう、この手の芝居を観に行くのはよそう。

8月24日記

静かなお喋り 8月23日


静かなお喋り

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