2012年10月12日一之輔の無茶ぶられ その2(座・高円寺) 一之輔に、古典の名作を改作させようとする会。前回も観に来たが面白かったので、今回もチケットを取った。 前半はゲストふたりの落語。 桃月庵白酒は例によって、一之輔や、ほかの落語家を茶化してから、落語会の二次会や宴席に関するマクラで沸かして、うまい具合に得意の『禁酒番屋』へ。「どっこいしょ」と言ってしまったのを、「いいえ、ドイツの将校と言ったんです」はすっかり定着したなあ。しかし、徳利を見つかって、「いやこれはゲロルシュタイナーです」は、わからない人もいるかも。 橘家文左衛門は、一之輔が前座として楽屋に入って、初めて会ったときのエピソードを披露してくれる。ネタは『天災』。紅羅坊奈丸先生のところへ行くのは物凄い乱暴者。何かというと「表へ出ろい!」なのが可笑しい。 仲入り後に春風亭一之輔が演ったのは、文左衛門のアイデアを取り入れた『明烏』。時次郎の幼少時代のエピソードがプロローグのような形で入る。「あやとり」、「だるまさんがころんだ」というふたつのキーワードをここで仕込む事で、最後に繋げる、なかなか凝った構成。このエピソードを印象深く演じた事で、もう八割方成功だったと言えるだろう。 ある理由から、「女を金で買うなんて最低の行為だ」と言う、何故か堅くて乱暴者というキャラクター。ここが無茶ぶられてやや辛いところ。見返り柳はチェーンソーで切り倒すは、大門はバーナーで焼き切るはの狼藉。「これで、大門で止められるのサゲは使えない」 半ば予想したような展開ではあるが、上手くまとまった、ほんわりした結末は、いい噺だなあという事になる。この改作は「あり」だと思う。 アフタートークで、この噺のタイトルは『明達磨』に決まる。 これからも、この噺、どこかでかけないかなあ。 10月14日記 静かなお喋り 10月12日 このコーナーの表紙に戻る |