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客席放浪記


一之輔のすすめ、レレレレレレレレレvol.8

2014年8月3日
なかのZeroホール

 三遊亭粋歌は、一之輔から何をやってもいいと言われたとの事で、新作落語『ヒーロー』。戦隊ヒーローをやっていたピンク、30過ぎて、いつまでも地球の平和を守るために闘ってはいられないと、パートの掛け持ちをやって地道に働き出す(笑)。仲間だったイエローもカレーチェーンの雇われ店長として働いているが、このチェーン店、実はブラック企業。シフトで入ってくれるはずの若者は、なんだかんだ理由をつけて休みを取って、負担はすべて店長であるイエローに。戦隊ヒーローたちは再集結して独立して店をもとうとするという、悲哀に満ちた物語。一昨日は粋歌の白鳥作の噺三席一挙口演を聴いたばかりだが、こうやって粋歌が自分で作ったものを聴いていると、気楽に聴ける感じ。白鳥の噺はやはり聴くのにこちらも体力がいるんだなと実感した。

 春風亭一之輔の一席目は『青菜』。これもこの人の鉄板ネタになってきた感じ。タガメの女房ね。この人の噺を聴いていると、今日もマクラてやっていた一之輔の子供の話と重なってくるところがあって、登場人物がなんとなく子供みたいなところがある。植木屋さんが隠し言葉のことを聞いて、最初はバカらしいと思っていながら、だんだん「うわーっ、(オレも)やってみてぇー」となるところは、まさに子供。そして、そんな子供っぽい人物を演じるのにも、子供から見た大人を演じているような、どこか意地悪な描写がある。これなんだな、無一之輔の面白さは。

 もうひとつのゲストが、これまた先日観たばかりの、だるま食堂。なんだか、このところ同じようなのばかり観ているよう。ボインボインショウ。先日もやっていた新作『美しい獣』『夏の歌』も演ってくれた。結局、駄洒落なんだけど可笑しい。

 春風亭一之輔の二席目は『笠碁』。これなんかも、子供みたいな喧嘩をしてしまった年寄りの噺。面白いなと思ったのは、ふたりが幼なじみだという設定。小さい頃ふたりで遊んでいて、相手が途中でいなくなっちゃって、戻ってくるのをいつまでも待っていたんだという話を持ち出してくる。あのとき待っていてあげたんだから、何でこの一手が待てないとくる。子供時代の事を持ち出してくるとはねぇ。年とっても子供みたいっていうのは一之輔の得意とするところなんだな。

8月4日記

静かなお喋り 8月3日

静かなお喋り

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