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客席放浪記

コラアゲンはいごうまん・春風亭一之輔二人会

2015年12月27日
横浜にぎわい座

 横浜にぎわい座での、この人たちの二人会もこれで五回目。実体験ノンフィション漫談のコラアゲンはいごうまんは、今まではいくつかのネタのタイトルを出しておいて、お客さんのリクエストが多かったものをやっていたが、今日はリクエストではなく、自分のやりたいネタを持ってきたようだ。題して『コラアゲン芸術のために脱ぐ!?』
 今回、食始からもらった指令は、絵のモデルになること。もちろんスッポンポンになって、絵を描く人の前でポーズをとること。
 大学の美術科などに電話して断られたあと、民間の美術スクールで、クロッキーのモデルをやらせてもらうことに。
 導入部で、今まで実体験ノンフィクションの取材で体験してきた様々なこと、ヤクザの事務所での体験やら宇宙人と交信しようとしたことなどをを語りはじめて、これは長くなるなあと思っていたら、それらのエピソードが最後に見事に繋がる見事な構成。
 イケメンでも肉体に自信があるわけでもないコラアゲンはいごうまんがヌードになるという勇気。食始に命令されたとはいえ、自分をとことん追い込むプロ根性には恐れ入った。
 それに加えて、いつもながらこの人の構成力の見事さはどうだ。

 コラアゲンはいごうまんの圧倒的なステージのあとに上がれる人は、そうはいないだろう。春風亭一之輔は今日は『任侠流山動物園』。三遊亭白鳥の、流れの豚次伝全十話の要ともいうべき部分。柳家喬太郎も楽しそうに演っているほか、柳家三三も演る。三三はどうやら今、全十作全部に挑戦する気でいるらしいという話も聞く。
 はたして一之輔はこの噺をどう自分のものにしているのか興味があったのだが、これがなかなかよかった。『任侠流山動物園』は第三話にあたる部分なので、それまでの二話分のあらすじを最初の数分で、ざっとかいつまんで聞かせて、噺に入る。
 まず一之輔が、白鳥の作った無理な展開をきれいに修正しているのに驚いた。いくつかの工夫を加えることで、ストーリーが自然になった。これはうまい。白鳥の入れたギャグも残したものと捨てたものがあるようで、そこにさらに自分なりのギャグを入れてくる。
 喋り方も白鳥より落ち着いているが、決してゆっくりというわけではなく、白鳥落語のピ゜ード感は壊していない。
 最後、トラとゾウの対決゛面はハメモノが入って、盛り上がる。
 白鳥が作り上げた、ほとんど動物ばかりしか出てこないこの噺、いろんな人の力で、だんだん名作になってきたような気がするなぁ。

12月28日記

静かなお喋り 12月27日

静かなお喋り

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