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客席放浪記

2012年6月22日池袋演芸場六月下席昼の部

 開口一番前座さんは柳家緑太『やかん』。頑張ってね。

 「お賽銭は、お札じゃなくて、500円玉、100円玉、50円玉のように小銭の方がいいそうです。お札にすると、効果(硬貨)が無くなる」 春風亭朝也『牛ほめ』

 「啖呵を切るなんていいますが、最近は啖呵を切っている人って見なくなりましたね。考えてみると啖呵って反社会的な行為なんですが・・・」と春風亭百栄は、現代人女性が啖呵を切る『マザコン調べ』。こうなると啖呵を切られた方が、切り返したくなるけど。

 この春、入院していて心配した春風亭柳朝。すっかり元気になったようで、『武助馬』を楽しそうに聴かせてくれる。

 ホームランの漫才。「菊池直子、捕まりましたねえ。もう別人のように痩せていて・・・これからは逃走ダイエットの時代ですね」 「まずは悪い事して、指名手配受けなくてはならないけどね」 漫才師なんて平日の昼間に普段着でウロウロしているから、ただでさえ不審がられて職務質問受けそうだけど。

 橘家圓太郎『野ざらし』。落語には『湯屋番』とか、この『野ざらし』とか、ひとりで妄想世界に入ってしまう人が出てくる噺があるが、こういうの、お客さんに受けないと演じ手は凹むらしい。圓太郎は受けていた。

 「ちょうど一ヶ月前、なにがあったと思います? スカイツリーのオープン。池袋にも来てくださいよー」 桂藤兵衛『短命』。短命になる理由を知って、家に帰った男、「組事務所かと思った」って、どういう家庭だ?

 中入り後は春風亭一之輔『加賀の千代』。21人抜きで真打抜擢で、今や飛ぶ鳥落とす勢いの一之輔。自然と口を突いて出たクスグリを、登場人物に言わせて笑いを取る手法は絶妙だが、この人、実は無言で表現する所作で笑わせる名手でもある。『あくび指南』『初天神』にも、これは見られるが、『加賀の千代』の無言逆戻しの部分の可笑しさったらない。

 時間が10分ほど押しているなあと思ったら、次の古今亭菊之丞がそれを調整する役に回る。『片棒』なのだが、祭好きの次男の部分だけ演って高座を降りる。損な役回りだが、寄席ってそうやって回しているところがある。そういう役回りが出来るというのも実力なんだろう。

 ヒザは、アサダ二世。喋りでお客さんを煙に巻く、寄席ならではマジック。カード当てもこういう風に演ると、寄席の芸になるという見本だよなあ。

 トリが五明樓玉の輔。落語家になるための、内弟子前座修業の様子をマクラに『藪入り』。こういう噺、いまや落語家になるにも内弟子システムが絶滅しようとしている時代だし、落語世界でなければ聴けなくなった。昔はニートだとか、新型うつだとかなんてあり得なかったよな。今はいい時代になったのか、悪い時代になってしまったのか。

6月26日記

静かなお喋り 6月22日

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