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客席放浪記

池袋演芸場四月中席夜の部

2014年4月16日

 滝川鯉朝、浅草、新宿に続いて、今度は池袋の主任。『さらに! ちょっぴりちがう寄席』だ。

 16時30分、夜の部開始直前に行ってみると、もう客席前に鯉朝が立っていて自らマエセツをやっている。この熱意なんだよねぇ。観に行こうという気にさせるのは。

 開口一番の前座さんは、三遊亭遊かり『桃太郎』。これ、師匠の遊雀に習ったのだろうか、いろいろ面白い入れ事がある。前座修業頑張ってね。

 春風亭柳若は、真打昇進披露興行の楽屋裏話をマクラに『看板のピン』。いろいろメンドーな先輩がいてタイヘンだね。

 コントD51のコント。例によっておばあちゃんの出てくるコントなのだが、自由すぎ(笑)。「すまんのすまんの満濃町」連発。香川に満濃町というところがあって、このコンビがそこの出身だということだけは、よくわかったぞ。

 笑福亭里光『八五郎坊主』。これは珍しいネタ。上方落語だが、東京の言葉に置き換えて演るには難しいだろうなぁ。

 かと思ったら、桂枝太郎は、三遊亭白鳥の『河童の手』だよ。W・W・ジェイコブズの『猿の手』の三つの願いテーマを白鳥流に展開させたやつ。あれ、白鳥以外にも演る人いるんだね。

 新山ひでややすこの漫才。寿司屋ネタ。やすこが歌いまくってる。
 ♪赤貝夕陽が校舎を染めて〜
 ♪ウニが割れるのよ〜
 ♪小エビと小エビからませて〜
 ♪もずく春ですね〜
 ♪鉄火遅れの 便りを乗せて〜
 楽しそうだね、やすこさん。

 恒例となりつつある上方からのゲストは、桂かい枝。これまで池袋演芸場には見台はなかったそうで、これを機会に見台が入れられた。かい枝は、この見台使用第一号。古典新作どちらも演るかい枝だが、今日は新作『恋するオ・ト・メ』。かい枝の女子高生役が、その風貌とのギッャプからか、最初から笑いが起こる。歯が浮くような台詞を吐くキザオくんとのデートのあとは、理系男子とのデート。これがおかしいのなんの。

 桂歌春が休演で、代演が桂小南治。「高座で何回もつっかえちゃったりすると、次の演者に感染しちゃって、またつっかえちゃったりする。これがその日のトリを取る人にまで感染しちゃう事がある。トリインフルエンザ」。これは珍しいネタが聞けたぞ。『ドクトル』。これ、演じ手が少ないので、つまらない噺かというと、どうも難しいからなんじゃないか。あの、手の仕草が難しそうなんだよねぇ。それがまた可笑しいのだけど。

 仲入りでも鯉朝が客席までやってきてトーク。このサービス精神、いつもの寄席も見習ってほしいよなぁ。

 北見マキの奇術。お札を空中から出す手品、鮮やかだなぁ。千円札、五千円札、一万円札。そして一億円札!

 芸協の若手がこぞって演るようになった『両泥』三笑亭夢吉のもいいね。「空き巣の寅さん、アキストラ」がやけに可笑しかった。

 三遊亭遊雀も休演で、代演が桂文治。先代のエピソードを語った後『平林』。平林の読み方を教えてくれる人が、三遊亭円丈だったり、林家彦六だったり。アハハハハ。「たいらばやしか、ひらりんか、いちはちじゅーのもーくもく、ひとつとやっつでとっきっきっ。なんで四つも憶えられるのに、最初のひとつが憶えられないんだろ。この噺、無理がある」

 鏡味正二郎の太神楽。毬、五階茶碗、出刃包丁の皿回し。ぞ〜。

 トリの瀧川鯉朝は、見に来ていると言う御両親からのリクエストで『井戸の茶碗』。柳家喬太郎が入れているらしいクスグリを「許可を受けている」と、ところどころで入れる。いい噺なんだが、適度な毒が入ることによって、単なる「いい噺」ではなくしているところが、却っていいんだなぁ。

 ハネても、楽屋に残った芸人さんとお客さんのお見送り。こんなサービス、ほかの演者から受けたことないもの。やっぱり気持ちいい、「ちょっぴり違う寄席」なんだよなぁ。

4月17日記

静かなお喋り 4月16日

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