池袋演芸場三月下席昼の部 2016年3月30日 毎年恒例、池袋の三月下席昼の部は新作落語ばかりが並ぶ。 開口一番の前座さんだけはいつも古典っていうことが多いのだけれど、今日は三遊亭ふう丈。新作の『電気家族』。身体に流れているものは血だけでなく電気も流れているという特異体質を持った家族の噺。よく出来た噺だなぁ。柳家小ゑんあたりが演りそうな噺みたい。五月に二ツ目に上がるらしい。おめでとう! 鈴々舎馬るこには幼児がいるらしくて、待機児童問題に関しては詳しいらしい。保育園にも認可、認証、無認可の種類があって、その違いをわかりやすく東京の寄席やホール落語に当てはめて説明してくれた。これがやけに面白い。そこから演題は不明だが、コモンセンスからの脱却、真実を教える、リバリバリバティ保育園の噺。ブラックな笑いが、いかにもこの人らしい。 夢月亭清麿は『東急駅長会議』。去年もこの番組で聴いたネタだが、これは傑作だと思う。前半の駅名に関する笑いは東急沿線に住んでいる人なら大爆笑に違いない。 三遊亭天どんは『子供の作文』。新作落語をやる落語家の息子が、作文の宿題を出されて、父親に新作落語ってどうやって作るのかを訊く。すると自分の作文もそのとおりの作り方で作ってしまうという、前半の仕込みが、後半にうまく笑いに繋がる構成。それだけでなく新作落語ってどうやって作るのかがわかって面白い。 林家楽一の紙切り。しだれ桜、舞妓さん、弁天小僧、五郎丸。注文のものを時間をかけずに切っていく。この素早さは現在5〜6人いる紙切り芸人ではトップかもしれない。これで切りながらのトークがもっと面白くなれば鬼に金棒といったところ。 「清原は群馬まで覚醒剤を群馬まで買いに行っていたそうですね。東京でも売っているだろうに。おそらくジョウシュウ」。林家時蔵は『幽霊そば』。死んでも法事もしてもらえないと幽霊になって出てきた男。家は金がなくて困っている。そこで幽霊が夜なきそば屋になって商売に出るというお話。 林家彦いちは、長年提出していないままだった卒業文集の原稿を息子と一緒に提出しに行く噺『二月下旬』。電車の中で出会う人との会話が面白い。 中入り後の、三遊亭丈二の『1パーミルの恋人』と、三遊亭吉窓の『下戸の酒』も、去年のこの番組でも聴いている。このへんは定番って感じかな。 柳家小菊の粋曲は『キンライ節』から都都逸、『とっちりとん』など。 トリは昨年の落語台本コンクールで優勝作『生き字引』を林家正雀が口演。なるほど、この噺はよく出来ている。それにこれを憶えて演じた正雀にも拍手。けっこう細かいことを憶えなくちゃいけない台本だったろうなぁ。 3月31日記 静かなお喋り 3月30日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |