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客席放浪記

むかし家今松独演会 平成二十四年秋

2012年11月8日
国立演芸場

 開口一番前座さんは古今亭半輔『元犬』。頑張ってね。

 今月から二ツ目に昇進した、辰じん改〆入船亭小辰
 「師匠から『前座は虫けらだよ』と言われて修行してきました。二ツ目になって辰じんから小辰になりまして、今度は師匠から『とりあえず達人目指して頑張れ』って。前進したのか後退したのかわからない」。
 噺は『金明竹』。大阪弁のよく解らなさが出ていていい。この噺、何回も聴いているとさすがに何を言っているのか解ってきちゃってるものね。

 むかし家今松一席目は『三軒長屋』。上下に分けず、スッと入って45分ヴァージョン。これ、力を入れてみっちり演る人もいるが、今松は適度に力を抜いて自然体で演っていて、聴いていて疲れない。まあこのあともっと長い噺が仲入り後に控えているわけなのだが。

 仲入り後は、大瀬ゆめじ・うたじの漫才。今日は『平行線・箸』。
もう聞きなれた漫才だが、おやっ、少し変化が。「駅弁の割箸ってなんであんなに短いかわかる?」「さあ」「箸が短いと、食べ物を噛む回数が増えるんだね。よく噛んで食べると満腹感を感じるんだよ。それが、お腹いっぱい食べたという感じにさせる、駅弁屋さんの陰謀じゃないかと」
 なるほど、確かに箸が短いと、なぜか噛む回数も増えるような。なんでだろう?

 むかし家今松のトリの噺は『大阪屋花鳥』
 今松版は六年前に北小岩の小さな会場で聴いている。あのときより五分くらい短くなっているか。それだけ整理されたという印象だが、とにかく元が長い噺。以前のときも感じたのだが、一時間ちょっとで収めてしまうと、コンパクトに語ったという印象しか残らない。
 できることなら、何回かに分けて、もっとじっくり聴きたい噺。とにかく見せ場はたくさんある。それをひとつひとつ抜き出して、単発でもいいから、じっくり聴いてみたい。
 手始めに吉原炎上のところとか、島抜けのところ。特に島抜けが聴きたい。周到な準備と根回しのサスペンス。そして海へ出てからのダイナミックな冒険。絶対に面白くなるはずなんだから。

11月10日記

静かなお喋り 11月8日

静かなお喋り

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