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客席放浪記

第63回れふかだ落語会・古今亭今輔独演会

2016年11月9日
Lefkada

 古今亭今輔の独演会ということだが、二ツ目の春風亭柳若と二席ずつ。まずはふたりの挨拶から。今輔はなんたって無類のクイズマニアだから、その話題。春にクイズ番組の予選に参加して、第一関門の筆記クイズで15位に入ったと、得意満面。しかしそのあとの早押しクイズで敗れてしまったと悔しさを滲ませる。ほんとうにクイズが好きなのね。一方の柳若は、今輔とは大学のオチケンで先輩後輩の仲。「大学の時からクイズ好きでしたよね」と昔話が始まった。その柳若の最近の関心はソロキャンプなんだそうだ。「雲取山へ行ってきましてね」と言うと、すかさず今輔が「東京都で一番高い山。標高を言える?」。さすが今輔、何でもクイズにする。そうかと思うと突然「日本三大アルプスを言える?」 「ええっと、北アルプスとか南アルプスとかですか?」 「飛騨、木曽、赤石。これはクイズの常識」。まるで今輔の噺『雑学刑事』そのものだね。

 古今亭今輔の一席目は、詐欺被害防止キャンペーン用に、詐欺に関する落語を作ってくれと頼まれて作ったものの、ホツになってしまったという噺『劇場型詐欺』。いかにも振り込め詐欺キャンペーン落語といった作り。おじいちゃんが詐欺の電話に騙されないように、子供がおじいちゃんに疑似演習をする。子供から、痴漢に間違われ示談に持ち込まれて、どうしても五百万円必要だと電話がかかってくるという設定。警察官役やら、被害女性の父親を名乗る男などが次々と電話に出てくる。オチもよく出来ていて、思わずニヤッとするものだった。

 春風亭柳若の一席目は『笠碁』。寄席サイズにしたのだろうか、かなりスピーディ。年寄り同士の噺だが、ふたりともあまり年寄り臭さを感じない。柳若本人もまだ若いから、これからだんだんと年寄りらしさが出てくるのかもしれない。

 仲入り後、春風亭柳若の二席目は『殿様団子』。今の三笑亭夢丸がまだ夢吉だったころに二度だけ聴いたことがある。芸恊の若手は何人かやるようだ。夢吉で聴いたときはなんだか殿様がカワイイと思って思ってしまったが、柳若だと、まさに殿様商売の殿様になる。

 古今亭今輔トリの一席は、4〜5年前に自分の会でネタ下しして、それっきりやっていなかったという『宝船沈没』。七福神がこのところ世間の話題にならないというので、七人の誰かがリーダーになって舵取りをしようということになる。ところが七福神、誰も彼もそれぞれ調べてみると黒いスキャンダルがバックにあることがわかってくる。七福神の七人の神様とは、そもそも何者なのかという知識を調べ上げて、それを落語にした、ややペダンティックな一席。クイズ好きの今輔の趣味が出たなぁという、また私好みでもある噺だった。

11月10日記

静かなお喋り 11月9日

静かなお喋り

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