直線上に配置

客席放浪記

わりかし頑張れ! 古今亭今輔ひとり会vol.3

2017年11月19日
らくごカフェ

 去年4月に1回目、1年3ヶ月置いての今年7月の2回目、そこから4ヶ月置いての3回目という不定期公演。いかにも古今亭今輔らしい。これからも気が向いたときに開催するってことでいいんじゃないかな。

 一席目は、以前にも2回ほど聴いたことがある『吊り橋効果』
 恐怖体験を共有した男女には恋愛感情が生まれるという心理学の理論を知った女性が、煮え切らない相手の男性を拉致して、山の壊れかかった吊り橋の上に誘い込む。無理矢理極限状況に追い込めばなんとかなるっていう女性の発想が可笑しい。今輔としては珍しい女性が主人公の噺。クライマックスのアクションがなかなか映画的で私は好き噺。

 二席目はネタおろし『落語のイドラ』
 落語のタイトルに突然イドラという単語が出てくるのも今輔らしい。イドラとは先入観、偏見といったもので、フランシス・ベーコンによると、イドラには、種族のイドラ、洞窟のイドラ、市場のイドラ、劇場のイドラがあるという。
 噺はそのうち、4番目の劇場のイドラ。落語が大ブームになり、腐った豆腐を本当に食べてしまう者や、たいこ持ちごっこが流行ってみたりという社会現象が起こってしまうていう可笑しい噺。落語好きには大受け。

 三席目もネタおろしの『ガリレオ裁判』
 地動説の主張と弾圧の歴史を、コペルニクスから、処刑されることになってしまったジョルダーノ・ブルーノ、そのあとのガリレオ・ガリレイの苦悩、そしてニュートンの万有引力の発見へと、順を追って語る。これも今輔にしては珍しい地噺に近い噺になっていた。科学史を聴き直すのにも面白かったし、かのガリレオの『天文対話』が漫才のようになってるのも可笑しかった。

 心理学、哲学、科学史を題材やヒントにしてうまく落語にした、いかにも今輔らしいといった三席。堪能しました。次回は来年春を予定しているそうだけど、ぜひマイペースでいいから、また今輔らしい落語を期待している。

11月20日記

静かなお喋り 11月19日

静かなお喋り

このコーナーの表紙に戻る

トップ アイコンふりだしに戻る
直線上に配置