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客席放浪記

第四回読売あいえす寄席昼の部

2014年10月11日
代人形町・読売IS

 人形町にあった寄席[人形町末広]の跡地に建った建物の中にある、読売新聞社系の会社が、年に一回のペースで催している落語会。今年で四回目。昼夜で芸人も変わって、入場料が千円という安さ。

 しかも驚いたことに、下座には三味線のおねえさん。太鼓も用意されていて、ナマの出囃子で出演者は高座に上がる。

 開演前に、前座の瀧川鯉和が、お客さんの目の前で一番太鼓を叩いて見せてくれた。下座に下がって二番太鼓。そして三味線に乗って瀧川鯉和の高座だ。ネタは『やかん』。そういえば先々月の古今亭今輔の会のときもこの人が前座を務めていた。前座生活ももう三年半。いよいよあと半年で二ツ目だね。

 金原亭馬生は昭和四十四年に、人形町末広が初高座だったそうだ。客の入っていない寄席で、先輩の雲助や駒三によくいたずらをされたという思い出話から、志ん生が人形町末広の独演会をすっぽかした話まで、今となっては貴重な話が聴けた。そこから『稽古屋』。下座に三味線のおねえさんもいるので、はめもののネタを持って来た。さらには清元などの芸事が出てくる噺。うまいネタを選んだものだ。しかもこれ、歌も得意でないと出来ない噺。こういうの出来る噺家さんて、だんだん減って行ってしまうのだろうか?

 仲入り後が、林家二楽の紙切り。初代正楽のはさみは、いまでも隣にある[うぶけや]での特注品であることなどを話しながら切っていく。お客さんの注文が、「凧あげ」「藤娘」「金色夜叉」とスタンダードなものが来る。これは二楽もホッとしたろう。最後は立体紙切り、ネコ。

 金原亭馬生のトリの噺は『百年目』。これも商業の街、人形町出の会だから選んでのことかも知れない。この噺も、はめものがある。かっぽれを座ったままで踊る場面などもある。まぁ、噺家さんならほとんど誰でも、かっぽれくらい踊れるのだろうけど、これもできなくちゃね。馬生のものは、先代から貰ったものかも知れないが、先代ほど、くどくない印象。しかしネタ選びが達者な人だわ。

10月14日記

静かなお喋り 10月11日

静かなお喋

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