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客席放浪記

JAL名人会

2016年4月27日
内幸町ホール

 開口一番前座さんは柳家圭花『子ほめ』。もう前座になって4年以上。そろそろ二ツ目だね。前座修業ももう少しで終わり。頑張ってね。

 二ツ目の三遊亭歌扇は圓歌最後の弟子になるそうだ。『桃太郎』、爆笑のクスグリも入って面白い。

 なにしろJALの機内放送の収録。客席で笑い以外の物音がすると台無しになりかねない。私も携帯電話をちゃんと切ったかどうか何回も確かめた。「客席でカバンの中をガサゴソやっている音、気になるんですよね。オバチャンって、なんで持ち物に鈴をつけるんでしょうか?」。三笑亭可龍『両泥』。偶然出遭った二人の泥棒が意気投合。後輩格が先輩に「親分」と呼びかける。そんな柄でもないと言うと調子に乗って「大親分」「大泥棒!」。言われて慌てて「そんな大きな声出すと別荘行かされちゃうよ」「それでは別荘までJALで」。

 桂藤兵衛『竹の水仙』を得意にしているらしいが、今回聴くことができた。なるほど普段、喬太郎や鯉朝で聴いてきた『竹の水仙』だが、ところどころ、それらとは違っている。面白いのは竹の水仙は最初から最後まで蕾のまま。咲かないのだ。そしてサゲ。パンツサゲとでも言ったらいいのだろうか? こういうのま初めて。

 磁石の漫才。話題がぴょんぴょんと飛ぶ現代的なもの。若い人に受けそう。

 トリは立川生志。ネタ出ししてあって、なんと4月だというのに『芝浜』。収録だけして機内放送で使うのは先のことになることもあるそうだから、実際に流れるのは年末なのかもしれない。
 なるほど談志に近い型で、最後のおかみさんの独白が長い。これは聴く側の好き好きなのだけれど、この言葉の洪水は、私は苦手。女性にこれだけ「大変だったんだ」と言われると、男の立場としては、勘弁してくれと思えてしまう。
 生志の『芝浜』のいいところは、最初の部分。河岸に出掛けた亭主が、芝の浜で煙草を吸いながら、「魚は生臭いなんていうやつがいるが、磯臭いといってもらいてえ」とか、「夕焼けがきれいだなんていうやつがいるが、夜明けの方がよっぽど気持ちがいい」とか、「向こうの岸にもこうやって煙草くわえているやつがいるのかな?」とか呟くところ。この朝の静寂さの描写が、なんとも、こちらまでいい気持にさせてくれた。

4月28日記

静かなお喋り 4月27日

静かなお喋り

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