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客席放浪記

JAL名人会

2016年11月24日

 三笑亭可風は今年の春に、可女次から可風になって真打に昇進したばかり。私は『転失気』はもう聴き飽きていて、聞き流していることが多くなってしまったが、この人のは軽快でいいね。転失気のことを、「ピロシキ、ピロシキ」という寺の小僧が可笑しい。

 古今亭志ん丸の落語を聴くのは二ツ目時代、まだ志ん太だったころに聴いて以来かもしれない。だからかれこれ10年ぶりか。『野ざらし』。あ〜、すっかり忘れていたけど、いかにも古今亭といった口調の人だったんだね。

 笑福亭たまは、ショート落語集から。いわゆる小噺だね。JAL機内放送用の収録だというのに、『シンクロナイズド・ドリアン』、『皿まわし』は見立てオチになっていて飛行機で聴いた人はわかんないだろうなぁ。アハハハハ。きっとヤキモキしちゃうだろう。一方で『機内食』は機内放送でやったら大受け間違いなし。「(そばを食べるしぐさ)これ、ざるそばですか?」 「いえ、じゃるそば」・・・「これはJALだからできます。ANAの機内放送ではできませ〜ん」。ウハハハハ。
 新作『秘密警察』は、首なし連続殺人事件を追って、ふたりの刑事が鳥籠に鳥を入れて容疑者宅を訪れる。これ、オトリ捜査のギャグでもあるのだが、カナリヤを入れたつもりが九官鳥。勘違いのほども「かなりや」ってギャグまでかまして・この九官鳥がまたお喋り。というかもう意志を持ってる。ふたりの刑事が言ったこと、み〜んな容疑者の前で喋っちゃう。アハハハハ。秘密警察って、秘密ただ漏れ警察。

 新宿カウボーイの漫才。この人たち、[東洋館]で何回か観ているのだが、私はどうしても苦手。ボケの人が、相方が言うように面白いというのではなく、ただ「はしゃいでいる」、「ただ明るいだけ」そのままで、私には騒がしいだけの漫才に感じてしまうんだよなぁ。

 立川志らくを見るのも、最後は私が退院した翌月、立川談志追悼興行が[平成中村座]で行われたときに観て以来だから。そろそろ5年になる。『火焔太鼓』は談志が聴いて「お前の十八番だ」とお墨付きを貰った噺だそうだ。
 なるほど、この噺は軽妙に運んでこその噺だから、志らくに向いている。噺の途中で「これは志ん生のギャグ、これは志ん朝のギャグ」とか解説が入るのも談志を思わせる。そうかと思うと、おかみさんが亭主に、亭主が縛られて松の木に吊るされる妄想を語るところで、様々な耳への攻撃をうける様を、これでもかこれでもかとギャグをてんこ盛りにしてみせる。この畳みかけは爽快だ。
 談志の芸風を一番強く受け継いでいるのは、良くも悪くも、やはり志らくなんだろうな。

11月25日記

静かなお喋り 11月24日

静かなお喋り

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