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客席放浪記

第2回桂雀々の落語Fighter

2014年6月27日
日本橋劇場

 桂雀々と、ゲストの柳家喬太郎が二席ずつ。仲入り後の演目は、開演前に渡された用紙に書かれた演目の中から、お客さんが聴きたいものをリクエストで募り、もっともリクエストの多かったものを口演するという段取り。

 桂雀々の一席目は、前座の位置ということもあって前座噺『動物園』。さすがにもう聞き飽きたと思うネタだが、これだけのベテランがやると芸が細かい。「暑いし毛が硬い」と言いながら、トラの皮を着込む仕種の上手さといったらない。毛がチャックに絡まるなんてところまで見せて、そんな細かい仕種が笑いを呼ぶ。マクラで大阪のファミレスでウエイトレスが、「何にいたします?」を「何さらします?」と言い間違えて大騒ぎになったという体験エピソードもやけに可笑しかった。

 一方の柳家喬太郎、滅多に演らないという『野ざらし』。こういうひとりキチガイの噺は、お客さんを選ぶ。雀々の『動物園』が、いい感じで受けていたので、いけると判断したのかもしれない。

 仲入り後、リクエスト集計結果発表。喬太郎が『カマ手本忠臣蔵』、雀々が『蝦蟇の油』。喬太郎も『蝦蟇の油』は持っているが、一度言い立てが出てこなくなってしまい、それがトラウマとなって演らなくなってしまったそうだ。私も一度、ほかの人で絶句してしまった例に遭遇したことがある。怖い噺なんだ。

 柳家喬太郎は、『47Ronin』のことをマクラにしたあと、『忠臣蔵』の登場人物を落語家に置き換えるとどうなるかという話題で笑いを取り、『カマ手本忠臣蔵』へ。浅野内匠頭がホモであったのが原因で、松の廊下の刃傷沙汰が起きたという大胆な噺。それを恨みと赤穂義士たちが決起して吉良を襲う。「しかし、わしが何をしたというのだ。何も悪くない」という不条理さが可笑しい。

 桂雀々『蝦蟇の油』は凄いなぁ。前半の言い立ても見事だったが、仕事を終えて、ひとりでプチ打ち上げをした油売り。ここで中マクラ。一門の酒好きの先輩が打ち上げでやった所業が凄かったというエピソードが入る。これがちょっとしたアクセントにもなり、後半へ。腕を切った血が止まらず大出血。取り巻いた人たちも、見なかったことにして去って行こうとする(笑)。「どこ行くの〜、ひとりにしないで〜」。可哀そうだけど、酔っ払いは放っておくに限る(笑)。でも、あの人死んじゃうよ〜。

6月28日記

静かなお喋り 6月27日

静かなお喋り

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