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客席放浪記

完全姉妹

2013年5月19日
赤坂 Red Theater

 最近、芝居を観に行くことにあまり積極的になれないでいる。チケットの売出しは公演の遥か前だし、予定が立てにくい。その上に芝居のチケットはどうしても高価になる。ほかに用が入ってしまって行かれなくなったら、損害も大きい。しかも観に行ってみたら、つまらなかったりすると失望感が大きい。カーテン・コールで盛んに拍手しているほかの客が恨めしく思えたりする。芝居にも腹が立ってくるし、そんなチケットを買ってしまった自分にも腹が立ってくる。

 そういうわけで、最近は自分からチケットを取ってまで観ようと思う芝居は、かなり限られてきてしまった。この芝居も、行かれなくなったという知人から買い受けたもの。自分から買ってまでは行かなかった。

 真野響子と眞野あずさの実際の姉妹が演じる、姉妹を描いた二人芝居。姉は夫に死に別れて、その遺産で悠々自適の生活。妹は未婚で介護関係の仕事をしている。姉は新しい恋が始まったようなのだが、やがて妹も同じ男性と交際をしていることがわかってくる。いわば、姉妹で三角関係になっている状態。そしてついに同じ男性と付き合っている事が発覚してしまう。

 ここで話はドロドロの方向に向かいそうだが、そうはならずにコメディ・タッチで進んで行く。だから芝居は重くならない。実際に現実世界でこんな状況になったら姉妹の関係は破綻してしまいそうだが、すんなり落ち着くところに落ち着いてしまう。

 そのあともウェルメイドなライト・コメディが続いて行きエンド。一時間半ほど、いい気持ちの世界に浸らせてくれたお芝居だった。観客も、やはり出演者と同年齢あたりの初老の男女中心。いい芝居を楽しんだ様子。

 でもなぁ。悪い芝居じゃなかったけれど、なんとなく物足りなさを感じてしまう私。う〜ん。やはり私は芝居に刺激を求めているんだと思う。ほんわりとした芝居って、どうも居心地の悪さを感じてしまうんだなぁ。

5月20日記

静かなお喋り 5月19日

静かなお喋り

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