2012年6月27日菊千代バラエティ笑(鈴本演芸場) 開口一番前座さんは林家まめ平で『転失気』。頑張ってね。 古今亭ちよりんは『宗論』。キリスト教にかぶれてしまった息子は、口調まで外人。「駅前のNOVAに通っているのか!?」 古今亭菊千代は、今夜は新作と古典を一席ずつ。まずは新作。パッとしない落語家が幇間と仲よくなる。やがて女房、子供とは疎遠になってしまうが、落語は自分が間違っていたと気が付く・・・って、幇間を女郎と入れ替えると、これは『子別れ』によく似た噺。 ところがサゲに来て「あっ!」と思ってしまった。単なる『子別れ』もどきの噺に思えたものが、いきなり、これはある例え話だったのだとわかるという仕掛け。落語家の名前がヒントだったのだが。これは気がつかなかったなあ。 上方から東京に出て来て半年あまりという桂春蝶。先代は実の父親だというマクラが実は前振りになってサゲに繋げるという凝った構成の『地獄八景亡者戯』 長い噺だが、現代的なギャグをたっぷり詰め込んだ、いわば序の部分のみ。地獄では今、立川談志が大人気で、ソールド・アウトだって。ウフフ、聴いてみたいねえ。 仲入り後が私の目的。ジャズ・プレイヤーの坂田明が高座に上がる。トークとサックス演奏となっていたので、何を話すのかと思ったらミジンコの話。 今からもう二十年以上前だったろうか。六本木ピット・インで坂田明がリーダーになった、幻覚ミジンコ楽団というユニットが入ったので、「何だ?」と思って観に行ったことがある。ステージにスクリーンが置かれていて、始まったのは坂田明によるミジンコの生態の話。第一部はスクリーンに、ミジンコを顕微鏡で撮ったビデオが流され、たっぷり一時間、ミジンコに関する講義。久しぶりに授業を受けた気になった。第二部がバンドによるジャズ演奏をたっぷり一時間。なんだか為になったし得した気分になったものだ。 今回は持ち時間の関係で、トーク15分。サックス・ソロ10分といったところ。実はミジンコの話で本当に面白いのは15分では納まりがつかないところにあるんだよなあ。 すっかり時間が押してしまい、この秋真打昇進の古今亭菊六の持ち時間がほとんど無くなってしまった。『浮世床』の本の部分だけ演って、トリと交替。 古今亭菊千代、トリの演目は『文違い』。老獪な花魁の手口が、女性が演ると真実味がある。もっとも、この噺、その上を行く男が現れのだが、それにコロリと騙されてとしまう花魁の心情も女性ならでは。 バラエティ笑というだけに、様ざまなものが楽しめた会。次はどんな企画で来るのか、ちょっと楽しみ。 6月29日記 静かなお喋り 6月27日 このコーナーの表紙に戻る |