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客席放浪記

2012年2月17日噺小屋スペシャル・如月の三枚看板(ブロッサム中央会館)

 開口一番前座さんは、入船亭辰じん『道潅』。頑張ってね。

 入船亭扇辰は、紅白歌合戦に出てウルトラセブンの主題歌を歌った夢を見たというマクラから『夢の酒』へ。
 外は雨が降り出して寒い夜になっている。こういう夜にこういう噺を聴くと、以前はこの噺の旦那みたいに燗のついた酒が飲みたくなったもんだけど、手術後はあまり飲みたいと思わなくなってきた。あったかい風呂に入って眠りたいって思う。酒より楽しい夢が見たい。

 橘家文左衛門『竹の水仙』だけど、およそ型破りな左甚五郎になっている。やたら乱暴な言葉遣いをする甚五郎だ。
 でも、最後に宿の亭主に竹の水仙の代金三百両をほとんど丸々渡して、「一人旅の男が来たら、この金で泊めてやってくれ。路銀が無いやつだっているだろう。一人旅って、寂しいんだ」と言うあたり、気勢を張っていても優しい人物なのかも知れない。文左衛門と同じように。


 仲入り後は柳家喬太郎。「薬屋の店先に『ウンチが出る、すごい薬あります』って紙が貼ってあったんですよ。これね、欲しいと思った人どうするんですかね。商品名が書いてない。店に入って、これと同じことを店の人に言うんでしょうかね」 こんなマクラから『死神』へ。
 「この燃え尽きた蝋燭、誰のですかね?」「それは、ホイットニー・ヒューストンだよ」「オレと同じ歳なんだよね」
 このところ、すでに亡くなった有名人が何歳で何が原因で死んだのかが、妙に気になるようになってしまった。私もつい最近死にかけて、すんでのところで命が繋がった。寿命の蝋燭はまだ燃え尽きちゃいなかったんだよなあって、『死神』を聴くと思う。

2月18日記

静かなお喋り 2月17日

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