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客席放浪記

桂小春團治独演会

2013年11月27日
内幸町ホール

 桂福丸『金明竹』を演った。へえー、上方落語でも『金明竹』を演ることがあるのかぁ。だって、江戸で大阪弁の人が来て、何を言っているのかわからないというのが、この噺のキモだと思っていたのだから。大阪で大阪の人が来て大阪弁で喋って、何を言っているのかわからないという事は、大阪弁がわからないというのではなくて、出てくる道具の専門用語がわからないという事なんだろうなぁ。でも道具屋のおかみさんが用語をわからないというのも不自然な話だし・・・。珍しいものを聴いたという感じ。

 笑福亭由瓶は、東京の某和菓子店の、店の対応を語るマクラが可笑しい。もうこれだけで大熱演。思わずこの店、今度行って来ようと思ってしまった。東京に住んでいても甘いものってあまり食べない私は、この店のことも知らなかった。店の前はよく通るのだけどね。
 噺は『阿弥陀池』。もともと上方落語らしいが、これは東京では『新聞記事』という、ちょっと変えた噺にしている。噺に入ってからも由瓶は、汗を拭き拭き大熱演。高座の周りも汗が飛び散っていたようだ。上方落語だと「糠に首」というのが入る。これ、上方落語だから面白く聴けるが、東京落語じゃグロテスクに感じられるだろうなぁ。

 桂小春團治一席目は『断捨離ウォーズ』。断捨離を実行しようとした夫婦の、これは捨てられない論議が大きくなって町内裁判に発展してしまうという噺。なぜか捨てられない輪ゴム、紙袋、ヒモ。うちにもずいぶんあるなぁ。冷蔵庫の扉はマグネットだらけ。マグネットがあると、ついついいらない紙類を挟んでしまうって、わかるわかる。夫のつまらないコレクションや妻の着れなくなった衣類。どこの家でもありそう。広い家に住めばいいというわけでもないんだよね。

 仲入り後は、桂小春團治の名作『冷蔵庫哀詩』をアニメしたものを上映。画像になると、なんともカワイイ。キムコのコの字が口になって喋るというアイデアが可笑しい。こういう細かいところは落語では出せない面白さがある。エンドクレジットのあとにオマケもあり。これもアニメでのオリジナル。

 トリは『不動坊』。鳴り物も入って賑やか。そういえば小春團治の古典って、私は久しぶりに聴いた。

11月28日記

静かなお喋り 11月27日

静かなお喋り

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