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客席放浪記

桂小春團治独演会

2015年11月4日
内幸町ホール

 開口一番は笑福亭生寿『道具屋』。東京ではこの噺、「お雛様の首が抜けます」でサゲることが多いが、上方では客が笛に突っ込んだ指が抜けなくなり、それを見て高額な料金を吹っ掛けるという場面がある。これがいかにも、何でもお金に結び付ける大阪らしくて面白い。東京では絶対にやらない部分。

 改札口でイチャイチャしているカップルが通行の邪魔だとマクラで語った笑福亭鉄瓶『天災』に入ってからも、そのことを盛り込んでいたけれど、はたして通行を邪魔してイチャイチャしているカップルって、天災に入るんだろうか? これは断固として人災だと私は主張したいぞ! モテない男にとって、こんなことが天災だとは言われたくないからね!

 桂小春團治の新作『ペット・ストーリー』は、あの名作『冷蔵庫哀詩』を思わせる擬人化落語。今回は人に家で飼われているペットが活躍する。主人の留守に泥棒が入り、それをペットの犬、猫、カメレオン、オウムが協力して撃退しようとする。映画『トイ・ストーリー』と『ホーム・アローン』を一緒にして、主人公にペットの動物たちを登場させるというアイデアが面白い。ペットたちが、どうやって泥棒を退散させるかという構成も見事だが、動物たちの所作、とくにカメレオンとオウムなんていうのは落語で初めて使われたものだと思うのだが、実によく感じが出ていた。

 チョップリンのコントをナマで観るのは初めて。客いじりから入ったコントは、時給380円(減給されて今は220円)で働いているフリーターの男と、男の彼女のお父さんのコント。よくある設定だが、このフリーターはかなりヤバイなという男。これはお父さんが結婚を許さないのは当然だよな〜。アハハハ。時給といえば私が学生時代なんて時給200円くらいのバイトが多くて、450円貰えるのって、かなりキツい仕事しかなかった。時代ですけどね。

 桂小春團治、トリの噺のマクラは、弟子にいい加減な名前を付ける落語家の師匠。どうせ続かないだろうという弟子には、ふざけた名前しか付けない師匠もいるようだ。そこから相撲取りにもふざけた四股名を付けられた者がいるという話になって、『花筏』。もともと上方噺なんだそうだが、私は上方噺として聴いたのは、これが初めて。東京でやられているものと、ほとんど変わらない。つまり東京に持ってくるときに、ほとんどいじらなかったのだろう。ただ、聴いていて、提灯屋さんが土俵に上がることになってしまって、「四股」を「しっこ」と間違えたり、慌ててしまい塩をとんでもない方向に撒くというのは初めて聴いた。一日二分の礼金に目がくらんだりする部分は東京よりも露骨な描写。やはり上方はお金に関することは、強く盛り込んでくるのかもしれない。

11月5日記

静かなお喋り 11月4日

静かなお喋り

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