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客席放浪記

国立演芸場四月上席

2016年4月10日

 開口一番前座さんは、春風亭百んが『狸札』。前座修業頑張ってね。

 林家つる子『初天神』は珍し事に、飴玉も団子も飛ばして、凧のところだけ。こういうの初めて聴いた。凧のところは聴いたことがないというお客さんも多いだろうから、これはいいね。

 春風亭百栄は、毎日同じ時間同じ場所に出るために、誰にもなんとも思われなくなってしまった露出狂の噺『露出さん』。日曜で子供もいる演芸場だが、あえてこういう噺をぶつけてくる百栄。でもこの噺って、全然いやらしくなくて、ほのぼのとしているのが特徴。露出狂なんて、女性が驚いた反応を示すのを見て喜んでいるのだから、こういう噺を聴いて女性も子供も免疫付けた方がいいのかもね。

 青空一風・千風の漫才。[東洋館]で何回か観ている人たち。今時の漫才にしてはテンポがゆっくり。「東京で墓地の無い区はどこでしょう? 正解は江戸川区小岩。こいははかない」。あら、きれいですこと。

 林家三平が、海老名家のお正月風景をマクラに。大きな盃に酒が注がれていて、年始に集まった一門が、香盤順に口を付けてから寄席に出掛けて行く風習なんだとか。三平の前にこの盃に口を付けたペーが・・・、ううっ、汚い話。そのまま同じような汚さの『荒茶』へ。こういう汚い噺は苦手な私。

 鈴々舎馬桜が盛りだくさんな『あたま山』。ケチな男の頭から生えた桜の木の下で、『長屋の花見』と『花見の仇討ち』が始まる。幇間が出てきてかっぽれを踊って見せる。そのあとは歌舞伎役者の声色。桜の木を引っこ抜いて頭に水が溜まれば、『野ざらし』が始まるという賑やかさ。

 林家種平が、文枝作の『ぼやき酒屋』。この噺、東京でも多くの人が演るが、この種平版、いろいろと工夫が入れてあって楽しい。テンポもいいし、種平版、面白いね。

 続く柳家はん治も続いて文枝の噺『唐獅子牡丹』。トシ取った任侠たちの物語。トシとるとヤクザも形無し。

 林家ペーの漫談は例によって、あっちこっちに話が飛んで忙しい。ビートルズの話をしていたかと思ったら、急に話題が変わり、とんでもない方向に行ってしまって、また戻ってきた。ポール・マッカートニーのライヴを観に行った話をしたかったのね。最後は天童よしみの『大ちゃん数え歌/いなかっぺ大将』をカラオケで。

 トリは正蔵の代バネで桂南喬。古道具屋の話題から『火焔太鼓』に入った。古道具屋の主人とおかみさんの関係が可笑しくていい。「お前さんなんか松の木にぶる下げられちゃって、そのうち鷹がやってきて、へそのゴマ齧られちゃうんだよ」なんて脅かされるものだから、お屋敷に何本も植えられた松を見て、「どうせ吊り下げられるなら、見晴らしのいいのがいいな」なんて呑気なこと言ってる。

 今日は変わった演目が並んだ感じで面白かった。

4月11日記

静かなお喋り 4月10日

静かなお喋り

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