国立演芸場五月中席 2017年5月20日 落語協会、春の真打昇進披露興行の千秋楽。 開口一番前座さんは、柳亭市朗で『子ほめ』。前座修業頑張ってね。 三遊亭わん丈は『寄合酒』。この人のこの噺、とても面白いんだけど、いつもこればかり聴かされている気がする。自信があるからこの噺になるんだろうけど、たまにはほかの噺も聴きたいなぁ。先日の『新蝦蟇の油』だってかなり面白かったんだもの。 本日トリを取る馬るこの兄弟子、鈴々舎鈴の助は『宗論』。「世界三大宗教というのがありまして、まずはオウム真理教・・・」。アハハハハ、そういえば、まだあるんだよね〜。 翁家社中、小楽、和助の太神楽。最後のナイフの取分け、ちょっとした事故のようなミスがあったように見えたけれど、無事に務めた。 鈴々舎馬桜は『歯ンデレラ』。初めて聴く噺だが、ネットで調べてみたら、林家きく麿の作のようだ。熟年合コンの席で、入歯を忘れた女性を捜す大金持ちの男性。持ち主は私だと名乗り出る女性がたくさん集まる。そのひとりひとりに、その忘れ物の入歯を入れさせてみるのだが・・・。オチが傑作。 鈴々舎馬風は、例によって漫談。「トランプ大統領の支持者は女性が多いそうですな。それも若い人ばかり。さすがにトランプというだけあって、ババ抜き」。あとはいつもの談志、毒蝮、ケーシーなどの話。ネタ帖には『楽屋外伝』とか『男の井戸端会議』とか書くらしい。 仲入り後は口上。司会は鈴の助。キチッと司会役をやってくれた。あとの人がどんなに冗談を言おうが、司会がしっかりしていないとグズグズになってしまう。 馬桜は、馬るこに稽古をつけている最中に、3.11が起きたというエピソード。 小さんは「先日、円歌師匠が亡くなりましたが、円歌一門は誰が円歌を継ぐか大変なことになっていることでしょう。そこへいくと馬風一門は何の問題もありません。馬風を継ぐのは馬るこしかおりません。少しでも早く馬るこが馬風を継ぐ日が来ますように」。馬風含め全員が、小さんを睨んでみせるというお定まりで爆笑。 馬風の挨拶もいつもどおり。馬るこのことなど一言も口にせずに、贔屓のジャイアンツの話題に終始して笑いを取る。 小さんの音頭で三本締め。 ホンキートンクの漫才。今日のは吉幾三。 柳家小さんは、先代小さんの息子であり弟子であったが、先代の死後、馬風に引き取られ、今は馬風の総領弟子の形。『親子酒』を聴かせてくれた。先代も得意にしていた酒飲み噺の鉄板。 ダーク広和のマジック。「カード三枚で行う手品なんです」と三昧のトランプを残して始めようとすると、トランプが四枚に増えていて、一枚外すとまた四枚になってしまっているというマジック。ダーク広和はタネよりも手さばきで見せるマジシャン。これは見破れない。 トリの鈴々舎馬るこは古典の改作の名手だが、今日は『時そば』。やはりいろいろと手を入れてあるが、破壊的にいじるというところまでは行っていない。やはり真打昇進興行ということで遠慮があったのかな。 最後に、今日の出演者、新真打全員が上がって三本締め。おめでとうございます。 5月21日記 静かなお喋り 5月20日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |