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客席放浪記

2012年2月29日 小満ん・喬太郎の会(銀座ブロッサム中央会館)

 開口一番前座さんは、柳亭市也『元犬』。頑張ってね。

 この日、朝から雪が降っていたが、そんな夜にはうってつけ柳家小満ん『雪とん』だ。大人向けの色っぽい噺。やっぱり女はいい男に弱いって噺なのかねえ。女の着物の裾を引っ張り、あとは、むにゃむにゃ。たまんないねえ。それにしても雪の中を一晩中傘を差したままうろついた田舎の若旦那の可哀そうなこと。こっちの方に同情しちゃうね。

 柳家喬太郎は、お得意の『竹の水仙』だが、いつもの奔放さは押さえられている。なるほど、先輩の小満んを立てたんだろう。後半、大きな笑いを呼ぶ宿役人も、今回はおとなしい。こういう喬太郎の『竹の水仙』もあるんだという事に感心した。その場に応じて演り分けができるんだな。

 仲入り後の柳家喬太郎『稲葉さんの大冒険』。これもあえて膝という位置を考えての新作とみた。去年は久しぶりに円丈版を聴いたが、喬太郎版は、公園のおじいさん(長谷川さん)の造形がよりエキセントリックで可笑しい。それでも、稲葉さんが情けない事になるのは円丈の方が身に迫ってくる。ごくごく普通の一般人が、エキセントリックな人に翻弄されるこの噺、なんとなくジム・キャリーの映画を思い浮かべてしまうのだが。

 トリの柳家小満ん『素人鰻』。うわー、これも最近あまり聴いてないや。昔は先代の桂文楽で聴いたっけなあ。酒でしくじる金さん。うまそうに酒を飲むところは、酒を飲めなくなってしまった私には、うらやましい。

 雪の夜には雪見酒とシャレたいところだが、そうもいかない。また、傘を差して一晩中うろつくのも勘弁だ。早く帰って暖かい布団で寝ますか。

3月1日記

静かなお喋り 2月29日

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