第99回九雀亭 2015年9月11日 亀戸文化センター大研修室 今日はあとから長い噺が控えているということで、桂九雀の一席目は、自分の持ちネタの中で一番短いという『たいらばやし』。これはうまく整理された『平林』だ。お使いに出る小僧が、旦那から用事を頼まれるところを大きくカット。平林の読み方を教わる相手を町で出逢った人ひとりにしてしまい、この人が珍妙な読み方をいろいろと教えるという構成。素人の落語教室用に作り変えたものらしくて、これだと登場人物も少なく抑えられるから演りやすい。しかも意表を突いたサゲまで用意されていて、これならこの噺を知っている観客でも楽しめる。しかもこのサゲは自然だしピタッと収まるのがいい。時計を見たら8分。前座さんの開口一番にも打って付けだと思うなぁ。 後藤ゆり子のマリンバ演奏。今日は九雀の出囃子もマリンバ。このあとも、はめものでマリンバは使われ、今日は大活躍。 一曲目はマリンバのために書かれた『ジターノ』。かなりなテクニックを必要とされそうな変拍子で、かつ情熱的な曲。このマリンバの演奏がナマで聴けただけで、この会に来ただけの価値があった。 二曲目は『荒城の月』。アフリカっぽい音色のマリンバが日本的な曲にも合うという不思議。 三曲目はクイズコーナー。演奏されたなかに何曲出てきたか当てるというもの。『天国と地獄』や『ウイリアムテル序曲』や『くまんばちの飛行』、あるいはアニメの主題歌まで入っていたが、私は一曲聞き漏らしてしまった。『崖の上のポニョ』は気が付かなかったなぁ。 最後はオリジナルの『ありがとう』。 桂九雀、二席目は『地獄八景亡者戯』。本来、はめものの下座が入るところを、マリンバでやってしまおうという試み。 鯖に当たって、あの世に行く男の様子に『アメイジング・グレイス』が被さる。 河豚に当たってやってきた賑やかな連中には『マイ・ブルー・ヘブン』。 鬼の船頭が舟漕ぐところでは『漕げよマイケル』。 念仏町では、讃美歌『いつくしみふかき』。 亡者に地獄の苦しみを与えているところでは『葬送行進曲』。 閻魔登場は『トッカータとフーガ』。 針の山に登るところでは『フニクリフニクラ』といった具合。 途中、一芸のあるものは極楽に行けるというところで杉原徹登場。手品をやりながら『この素晴らしき世界』をギターを弾きながら歌う。 そして、徹さんといえば、この曲『Tokyo Tako Blues』。マリンバで上品な『地獄八景亡者戯』が一転、下品な方向に一直線。アハハハハ。うわぁ〜、これ聴いたの、三年前の2月、横浜[Thumbs Up]でのひとり会以来。九雀と徹さんがどういう繋がりなのか知らないが、これはうれしいゲスト。 もともと『地獄八景亡者戯』は、何でもありの自由な噺。こういう試みは大歓迎ですね。 9月12日記 静かなお喋り 9月11日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |