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客席放浪記

2012年8月21日喬太郎の古典の風に吹かれて・六(紀伊国屋ホール)

 柳家喬太郎が、あまり演り手のいない『仏馬』という珍しい噺を持っているとは聞いていたが、ようやくここで聴くことができた。いただきものをたくさん貰ってしまった坊さんが、繋いであった馬に荷を乗せて弟子に寺まで運ばせる。坊さんは代わりに自分を繋いで、馬がいた場所で昼寝していると、馬の持ち主がやってくるといった噺。なんか、のほほんとした落語らしいとえば落語らしい噺。いかにも喬太郎好み。こういう、どうってことないような噺、私も好きだな。


 一旦緞帳を下ろし、上がると、特別あつらえの釈台が置かれていて、ゲストの一龍齋貞水の講談『村井長庵』の読み抜き。『お登勢の最後(雨夜の裏田圃)』。なんと怪談噺に仕立てにしていた。そういえば、むかーし、先代林家正蔵がプークと一緒に、ここ紀伊国屋ホールで怪談噺を演っていて観に行ったっけなあ。このホール、こういうことを演るのに相性がいいようだ。

 仲入り後は、貞水、喬太郎の対談。寄席での怪談噺の思い出、キャバレーで講談を演っていた話、ふたりで青森の学校寄席に行ったときのエピソード、果てはこれからの講談はどうなるのかといったことまで。貞水、いくらでも喋る勢い。いつまでも聞いていたい話が続く。

 トリの柳家喬太郎は、かかってきた電話を自分の父親からだとばかりだと思って話していたら突然「お前の師匠だ!」と言われたというエピソードから『粗忽の使者』へ。貞水の講談が重かったこともあり、喬太郎は軽く聴ける噺二席。いいね、こういうバランス。

 対談でまだまだ話し足りないらしく、「一杯飲んで帰りましょう」と言っていたおふたり、このあと、どこでどんな話をしたんだろうか?

8月22日記

静かなお喋り 8月21日

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