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客席放浪記

2012年2月10日『特撰花形落語会 柳家喬太郎・柳家三三二人会』(かめありリリオホール)

 開口一番は柳亭市也『子ほめ』。頑張ってね。

 仲入りを挟んで、喬太郎、三三二席ずつという構成。柳家喬太郎一席目は『初天神』。屋台の食べ物を買ってくれと要求する、もの凄い子供というのは、三遊亭遊雀あたりから、だんだん大変なことになってきているが、父親も負けてはいないというのが喬太郎演出。お互いに吠えまくっている。もっとも最終的に負けるのは父親なのだけれど、「大きな声を出すな」と口をふさぐ父親の掌をペロペロと舐める子供っていうのは、父親のはるか上を行っている。

 「毎年九州に、うちの師匠(小三治)と歌丸師匠、それに誰かという三人会で回っていたのですが、今年、あとひとりに私ということになりまして回って来たのですが、順番を先に歌丸師匠が出て、次にうちの師匠、最後が私ということにしようと、うちの師匠が言い出しまして、光栄だったんですが、うちの師匠、(例によって)マクラをたっぷりやりまして、終演が夜9時というのに、高座から下りてきたのが、8時55分」柳家三三『鹿政談』。前方が長くならずたっぷりと。

 仲入り後、柳家三三『締め込み』だ。泥棒が入ったとは知らず、風呂敷包を見つけての夫婦それぞれ勝手な妄想からの夫婦喧嘩。そのおかしさったらない。これぞ落語っていう気がする私の好きな噺。締め込みの意味がわかる最後までやってもらうと、もっとばかばかしくて好きなんだけどね。

 柳家喬太郎は先日池袋でも聴いた『寝床』。「豆腐屋さんはどうしたい?」「犬と間違えて鹿を殺してしまいました」「この町内に鹿なんていたかな」 またやってる。テンションの高い旦那は、その前の『初天神』のおとうさんにも似ている。凄い迫力で義太夫を語る旦那には、子供でもかなわない。このマックスに声を張り上げるという落語を喬太郎は掴んだような気がする。声は大変だが。今、喬太郎の『寝床』は面白い。

2月11日記

静かなお喋り 2月10日

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