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客席放浪記

柳家喬太郎・柳家三三 二人会

2013年1月20日
サンパール荒川

 開口一番前座さんは柳亭市助『狸の札』。前座修行頑張ってね。

 柳家三三の一席目は、つい三日前の月例三三独演で聴いたばかりの『五目講釈』。芸は身を助けると言われるが、こちらは素人の芸は身を滅ぼすの噺。居候の若旦那の支離滅裂な講談が終ったところで挨拶したら、客席から拍手が。それを高座が終ったと勘違いした音響係がお囃子の音を流してしまい、慌てて止める。お客さんもびっくりしたが、三三もびっくりした様子。まだサゲまで行っていない。「と、お囃子が鳴って(若旦那)帰って行っちゃったよ」と繋げて事なきを得る。場内大爆笑。なんでもいいの。笑いが取れればそれで落語会は成功と思わなくちゃ。

 柳家喬太郎の方は、立ち食いそばの話から例のコロッケそば。『時そば』に入る前に喬太郎がよくやるマクラだが、これだけでも十分に可笑しい。ちゃんとじゃがいもを茹でて潰してパン粉を付けて揚げたコロッケではなく、じゃがいもの粉から作られた冷凍コロッケが揚げられ、どう食卓に上るかと思っていたら、ぞばの汁の中。汁が沁みてきて崩れていくのに身をよじる、かわいそうな冷凍コロッケの心情を身体で表現する。その可笑しなこと。もちろん『時そば』も絶品。「中にゃ、うどんかと思う太いそばがあるけど、そこんとこいくとお前のは・・・うどん? いや、長いそばがき?」 そんなそばがき食べてみたいかも。ウハハハハ。

 仲入り後の二席目。このあと鈴本のトリがある柳家喬太郎は、短い『夫婦に乾杯』をやっつけて上野へ。といってもこの『夫婦に乾杯』は楽しい噺だ。仲良し夫婦の夫が、仲のいい夫婦というのはおかしいという社内の人たちの話を聞いて、無理に喧嘩する噺。この屈折した心情がいかにも喬太郎らしくて可笑しい。

 トリを取る柳家三三『佐々木政談』。頓知頓才で大人を煙に巻く男の子の噺。「生意気な事言いやがって」となりそうなところ、佐々木信濃守は、これを面白いと思って褒美まで与える。子供も子供だけど、大人も大人で、大人らしい態度を示さなければいけないって事だよなぁ。

1月21日記

静かなお喋り 1月20日

静かなお喋り

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