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客席放浪記

きょんとちば

2015年6月24日
紀伊國屋ホール

 2011年の『キョンちば』に続いて二回目の柳家喬太郎、千葉雅子二人会。

 前回は、開口一番まで「前座です」と言って喬太郎がやっていたが、今年は弟弟子の柳家小太郎。『鷺取り』。ところどころ「マジで」「超むかつく」といった現代若者言葉が入るのは喬太郎の影響か。弟弟子とはいいながら兄弟子の影響をかなり受けているみたい。

 柳家喬太郎一席目は、今日は楽屋めしが弁当ではなく出前だったというマクラが楽しい。そば屋さんに出前を頼むのに出演者全員がカレー南蛮だったという楽屋話。カレー南蛮を頼むときは小ライスを一緒に頼み、麺を食べ終わったら残った汁にライスを入れて食べるのがおいしいって、わかってるね〜、喬太郎。そこから夜の演目を決めたのか『そば清』。50杯のそばを食べる仕種の猛スピードで笑わせる。

 千葉雅子は前回、喬太郎がやった『反対俥』。前回、千葉雅子が喬太郎に書いた『マイノリ』は、終電に乗り遅れて始発まで過ごす男女の噺だったこともあるのだろう。サゲが、牛久沼まで来てしまった俥夫に「どうしても終電に乗りたかったんだが」と言うと、「終電に間に合わなくても始発には間に合わせます」。これは前回の『マイノリ』を聴いた人ならニヤリとしているだろう。

 出囃子が梶芽衣子の『恨み節』なので、ネタ出ししていた『サソリのうた』が『女囚サソリ』をモチーフにしたものだとハッと気が付いた。これは千葉雅子、かなりハードルの高い噺を書いてきた。なにしろ登場人物は全員女性。噺の後半は女囚刑務所になり、一時期流行った女囚ポルノの世界も盛り込んでいる。鞭を振るう看守長。そしてほとんどの囚人がレズという、これを男の喬太郎に演らせようというのだから、かなりな無茶振り。しかしそれをテレもせずに演ってみせるのだから喬太郎は凄い。これ、ここでかける以外、どこでかけるんだろう? 演劇的落語を追求してきた喬太郎に、かなり演劇的な台本を与え、喬太郎は見事にそれを演りこなした。

 三回目があることを期待しちゃうな〜。

6月25日記

静かなお喋り 6月24日

静かなお喋り

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