特撰花形落語会 柳家喬太郎・柳家三三二人会 2015年6月13日 シアター1010 開口一番前座さんは三遊亭ふう丈で『たらちね』。新作派の円丈の弟子だけど、古典、キッチリとやってる。前座修業頑張ってね。 柳家喬太郎一席目。旅の噺をやるつもりなのか仕事で旅をしたときのことをあれこれとマクラで喋っている。以前にも聴いた話から、初めて聴くことまで。これがいつまでも続くのでときどき「もういい加減に噺に入れって人います?」「落語は、このあと三三がやりますから」「いいじゃないですか、もう少し話させてよ」「これが白鳥との二人会なら、ちゃんと落語やりますよ」「魂の解放だぁ〜」と、なんと25分のマクラ。そこから始まったのは確かに旅の噺。私は初めて聴く噺だが『茶代』というそうだ。そういえばマクラでもチップの話をしていたなぁ。主人が使用人の喜助に旅先でチップを払わす時に、主人が六文のときは喜助を六助、八文のときは八助と呼ぶという符牒を決めていた。そんなある日のことの出来事という、小噺のようなもの。なんと5分で終わってしまった。 柳家三三の出囃子が鳴ったが、三三がなかなか出てこない。ようやく出てきて「長いマクラが終ったんで、煙草吸いに行ってたら噺に入って5分で終わっちゃったんで、慌てて戻ってきました」と笑わせる。三三の一席目は舞台が千住ということもあって、土地にちなんだ噺『藁人形』。笑いどころも少なくて正直、嫌な噺でもあるのだが、この地味な噺でも三三は、お客さんを引き込んでいくだけの力を持っている。鍋の中身はなんなんだろうという、いささかホラーめいた話は、初めての人は緊張するよね。 仲入り後、再び高座に上がった柳家三三、「今度は私、マクラ長いですよ。先ほど降りたら喬太郎さん『出かけてくる』の謎の言葉を残し、いまだに帰ってきません」。それでもマクラはそこそこにして『五目講釈』。これだけ大きいホールで、『茶代』『藁人形』ときて『五目講釈』。マイナーなネタが並ぶなぁ。それでも『五目講釈』、お客さんの笑いは絶えず反応がいい。赤穂浪士四十七人の中には、どさくさまぎれに柳家喬太郎が混じっていたり。 地味な噺が続いてのトリの柳家喬太郎。『お菊の皿』だ。SMのようなお菊いじめ場面は、喬太郎オリジナル。本人も楽しんでいるようなところがあるよなぁ。そうかと思うと、最初にお菊の幽霊が出てくるときの演出はかなり怖い。そして後半でお菊がアイドルのようになるあたりは、以前聴いたときよりも、より現代のアイドルに近付けた演出。ひとつの噺の中にいろんな要素を盛り込んだ、一席で何席も聴いたような遊園地状態の演出はサービスいっぱい。これはお客さん、満足するわな。 落語初心者から、かなりの落語好きまで満足させる、いい落語会だった。 6月14日記 静かなお喋り 6月13日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |