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客席放浪記

葛飾花菖蒲落語会昼の部

2016年6月18日
亀有リリオホール

 開口一番前座さんは、橘家かな文で『たらちね』。かな文、いいね。お嫁さんに来る女性が、いかにも武家で修業した品のある女性の声になっている。まだ前座二年目だよ。将来が楽しみ。前座修業頑張ってね。

 かな文が下がったところで、音響さんが音を間違えて、仲入りの音を入れてしまった。慌てて切って『まかしょ』が流れ、柳家喬太郎の登場。
 代々木という街は新宿あってこその代々木、原宿は渋谷あってこその原宿。そこへいくと亀有というのは、どこにも寄り添うことなく一つの街として成り立っていると持論を展開する喬太郎。「金町に頼ってないでしょ。もちろん北千住にだって」。笑いと拍手。街をこういう風な見方をする喬太郎の感覚って面白くてユニーク。
 噺は『抜け雀』。喬太郎の得意ネタ『竹の水仙』と似たような構造をしている噺。『竹の水仙』は大きく喬太郎が手を入れているのに対して、こちらは、それほど大きな改変がない。いつかもっと喬太郎らしいアプロチがあるんじゃないかと期待しているのだけれど。

 母心の漫才。「いつも浅草東洋館に出ておりまして、この間、渋谷で会をやりました。同じ銀座線で一方の終点が浅草。もう一方が渋谷。浅草に向かうと、上野広小路、稲荷町、田原町。これが渋谷方向に向かうと、青山一丁目、外苑前、表参道とオシャレな感じになっていく。そして渋谷で会をやってみたら・・・みんな浅草と同じ客!」

 桂文珍は、さっそくマクラで先日の三遊亭円楽の不倫報道をネタにして笑いを取る。あれは歌丸引退に続く『笑点』の話題作りじゃないか。今一番チケットの取りにくいのは、文枝・円楽二人会だとか言いたい放題。
 『定年の夜』。定年を迎えた日に家に帰ってみれば、家族全員がスマホに夢中でお父さんのことを見向きもしない。ふてくされて飲み屋に行ったお父さん、スマホをいじっていると、スマホのなかの世界に入り込んでしまう。そこはインターネットの海。さば(サーバー)が泳いでいて、それをネットで取るとか、この世界では二つの川が流れていて、ライン川とアマゾン川だとか。これってこの噺をもっと広げると、ちょっとした『地獄八景亡者戯』になりそうだなぁ。

6月19日記

静かなお喋り 6月18日

静かなお喋り

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