愛山・喬太郎二人会 2017年12月26日 お江戸両国亭 開口一番前座さんは三遊亭じゃんけんで『浮世床』。前座修行頑張ってね。 神田春陽『清水次郎長外伝 小政の生い立ち』。マキノ雅弘監督の『次郎長三国志』シリーズは、痛快で楽しいが、案外講談や浪曲の次郎長ものは暗い噺も多い。しかしこの『小政の生い立ち』は楽しい噺。 あとから上がった喬太郎が、次郎長をNHKが大河ドラマでやらないかと言っていたが、確かにNHKで侠客ものはまずいとしても、楽しいものができそうなんだけどなぁ。 神田愛山の一席目は『蜀山人』。狂歌の蜀山人の句を、蜀山人のエピソードとともに語る一席。酒が好きで、禁酒を宣言しても止められず、それまで歌にする。人間らしくていいなぁ。私も俳句や短歌より、川柳や狂歌の方が好き。 柳家喬太郎の一席目。この日の昼間にあった、落語協会の納会でのことをマクラにして、すっかりノリノリ。 ネタ出ししてあった『縁切榎』は円朝作品。つい三日前にさん喬で聴いた円朝作品『福禄寿』も演じ手が少ない噺だが、この噺も同様に少なくて、私は初めて聴いた。 旗本の出の三男坊の色男が、芸者といいところのお嬢さんのふたりと、どちらと世帯を持とうか悩み、二つの家を行ったり来たり。まことにうらやましいようなお噺。どちらの女性の描き方も喬太郎は巧みで、聴いているこちらも、どちらにしたものか迷ってしまう・・・って、私が迷うことはないか。 芸者は芳町芸者で、浪花町に住んでいる。ウフフフフ、私の住まいのあるところ。だからなんとなく芸者の方に肩入れしちゃいそう。 喬太郎の二席目は、8月に一度聴いた『残酷なまんじゅうこわい』。2回目でも大笑いした。酒好きと思われる喬太郎が案外甘いものにも詳しいのが意外。 トリの愛山は岡本綺堂原作の『妖婆』。これは一種の怪談。雪の日に鬼婆横丁といわれる路地に、ひとりの老婆が道端に座っているのを目撃した何人かの侍が辿る運命。その老婆がなぜそこに現れたのかの説明もないので、逆に怖い。「どうか帰り道に老婆が座っていないか、お気をつけてお帰りください」で終わった。夜の帰り道の怖かったこと。 12月27日記 静かなお喋り 12月26日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |