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客席放浪記

毎日新聞落語会 長講三席

2014年8月13日
大和田さくらホール

 音響の問題なのか、ちょっと演者の声が変に反響してしまって聴きとりづらい。どうしたんだろう。

 開口一番、前座さんは柳亭市助『狸の札』。前座修業、頑張ってね。

 春風亭一之輔『鰻の幇間』。やはり鰻屋に入ってからが大爆発。お酒は口に入れただけで弾ける。肝心の鰻ときたら、箸を弾き返す。突き刺そうとしても刺さらない。「天然ものだけに根性が違う」って、どんだけ硬い鰻なんだろ(笑)。
 男に騙されたと気が付いてからの、仲居さんへの文句たらたらがまたすごい。ケバだった畳は、これは畳じゃなくてムシロ。お白洲に座らされたよう。床の間の掛け軸は落っこちてしまい、ペナントが張られている。花瓶の花は一年前から入れられっぱなしの枯れすすき。すごいところだねぇ(笑)。鰻は食べるとゴムホースみたい。薬味にマヨネーズが付いてくる。
 サゲもオリジナル。アハハハハ、そう来たか。

 変化球を投げてくる一之輔、三三に挟まれると、直球派の柳家三三はやりにくいだろう。しかも何なんだろう、ネタがあろうことか『三枚起請』とはねぇ。悪くは無いんだけど、私は三三の喜瀬川に、あまり色気が感じられないのだけど。いっそのこと、一之輔みたいに爆発させちゃえば面白いのにと思う。三三だけ聴きに来たなら、これでも十分に満足できたんだろうけどね。

 桃月庵白酒『らくだ』。一之輔が魔球なみの変化球を投げてきたと思うと、こちらは緩やかな変化球。兄ィもそんなに怖い男に描かないし、屑屋さんもらくだにどんなに酷い目にあったかを、あまりグダグダと長く話さない。人によっては屑屋さんが酔って話すところをじっくりと聴かせるのを主眼にしている人が多数派で、ここで切ってしまう人も多い。おそらく白酒としては、ここよりもそのあと、死体を焼き場に運ぶところに主眼を持って行きたかったのではないか。酔っぱらったあとの屑屋さんは実に生き生きとしている。白酒お得意の子供っぽい人間が爆発する。らくだの死体の髪の毛をむしり取るところの楽しそうなこと。死体が樽に入らないとなると無理矢理足の骨を折るところとか、もうやることがほとんど子供。いかにも白酒らしい『らくだ』だった。

8月14日記

静かなお喋り 8月13日

静かなお喋り

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