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客席放浪記

渋谷らくご まくら王

2018年2月12日
ユーロライブ

 落語のマクラだけの語り芸の会。トリの馬石だけ古典落語を一席ということだから、時間配分としては馬石まで含めてリレーで一時間半ほとマクラをやって、20分程度の落語に入るって感じ。

『高永荘の思い出』 柳家花いち
 噺家になりたての頃、井の頭公園近くの風呂なしアパートに住んでいたころのエピソード。噺家さんたちはこういう貧乏時代の話をマクラにすることがよくあるが、たいていこれが面白い。
 風呂はないけれど100円で5分間水が出るシャワーがあって、それの効率的な使い方とか、同じアパートに偶然入居して来た後輩から楽屋弁当を貰って食べたとかの涙ぐましいエピソードだったり。
 ギリギリの生活が、聴いていて目に浮かぶよう。

『オヤジ』 三遊亭鳳笑
 目がギョロッとして痩せている鳳笑。シャブの売人からてっきり常用者だと間違えられたという経験談が前半。笑っちゃいけないが、ほんと見た目がそんな感じ。その外見だけでこの人は忘れられない。
 後半は父親が中国とアメリカで海外旅行のお土産にと買ってきてくれたものが、両とも税関で引っかかったという話。この人も面白いが、この人のおとうさんという人も相当面白い。

『クックパッド』 台所おさん
 前半は、[Hotto Motto]の唐揚げ弁当が大好きだという話。
 後半はネットのクックパッドを見て、娘に料理を作ってあげたら大好評だったという話。とてもほんわりと幸せが漂って来るマクラ。いいおとうさんだね〜。

『大須修行』 瀧川鯉斗
 噺家になってもう14年だって。ええーっ、もうそんなになるのか。ついこの間入門したばかりという気がしていたのに。本人も言っていたけれどあっという間だな〜。二ツ目になったのが2009年って、もうそろそろ真打も近いじゃないの。
 名古屋の暴走族上がり。入門当時の話から、前座になってすぐに名古屋の[大須演芸場]に出て、暴走族仲間がたくさん観に来たという話。にこやかな鯉斗が元暴走族だったとはどうしても思えないんだよな〜。

『大阪ラバーズ』 林家たこ平
 大阪出身のたこ平。東京のお客さんと大阪のお客さんの違いを語って、大阪に落語会に行ったときに、会場で脱いだ靴が片方見当たらなくなってしまい、仕方なく近くの靴屋に新しい靴を買いに行ったときの仰天のエピソード。大阪は凄い。

 トリで上がった隅田川馬石。客席の後ろの方で聴いていたという、前に上がった5人のマクラについて講評し、本当においしいそばとうどんの食べ方というマクラから『時そば』
 昔、四文銭というのが使われていて、二八そばは四文銭4枚持って食べに行ったものだと解説。なるほど『時そば』の男は、それを一文銭で払うという普通でないやり方だったというわけだ。
 一文かすめた男は、夜鷹そばの出る四つ(10時)から九つ(12時)の間を狙って、九つになったあたりで、そばを食べる。後の男は早く試してみたくて、普段ならまだ夜鷹そばが出ていない時間帯に夜鷹そば屋を捜す。またそば屋の方も気が早く商売に出てしまったというわけ。普通、後の男が「いま何時だ」と訊くと「四つで」となって「いつ、むう、なな、やあ」がサゲだが、馬石は早くから商売に出ていたそば屋が四つ(10時)では遅いと考えたのか、「へえ。五つ(8時)で」「むう、なな、やあ」と下げていた。

2月13日記

静かなお喋り 2月12日

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