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客席放浪記

ママ・アイ・ウォント・トゥー・シング(Mama, I Want to Sing)

2013年12月5日
シアター・オーブ

 1988年の日本初上演のときに観ているから、これ、25年ぶりに観た事になる。

 もうほとんど内容を忘れていたけれど、観直してみると、ミュージカルということもあるのだが、ストーリーは単純。牧師の娘として生まれた主人公がソウル・ミュージックの歌手として成功するといっただけの事。もう全篇歌と踊りを観ているだけで時間が過ぎていく。

 音楽は前半はゴスペル。後半はそれにソウル、R&Bが加わる。ゴスペルってねぇ、凄いとは思うのだけど、それほど好きになれないっていうのは、やっぱりあの説教くささ。黒人音楽の原点だとは理解できるのだけど、どうも、ずーっと聴いていたいとは思えない。また、歌詞は別にしたとしても乗りもいいのだけど、いい加減で疲れてきてしまう。後半でゴスペルからちょっと解放されたと思っても、R&Bの曲にまで神が顔を出す。まあ、ゴスペル・ミュージカルと言っているのだから、そういうお芝居なんだろうけど。だから、このミュージカルの主人公のモデルになったドリス・トロイの名曲 Just One Look を歌うところはホッとしたし、いつ聴いてもいい曲だよなぁ〜と。もっとも私が初めてこの曲を聴いたのはリンダ・ロンシュタットなわけで・・・ダメじゃん、まるっきりの白人美形ねえちゃんじゃん。

 今年は観ていて、なんとなく『あまちゃん』を思い出していた。アイドルになりたいのとママに言いだすアキの姿がちょっとダブったりして。

 夜遅く帰ってきて母親に叱られるなんていうのも、いつの世もどんな国でも不変のテーマ。でもドリスはヤサグレしたわけでもなく、アポロシアターで歌って人気者になり、歌手の道を選び、大金を儲けて地元のために尽くしましたとさ、という正にゴスペルの模範生。ちなみにドリス・トロイは2004年に67歳で亡くなっている。つまり、日本初演のときは、まだドリスは生きていたってことなんだね。知らなかった。

12月6日記

静かなお喋り 12月5日

静かなお喋り

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