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客席放浪記

てれんこぱれんこ〜鈴々舎馬るこ ネタ下し独演会

2016年10月4日
お江戸日本橋亭

 来年3月真打昇進に向けて、トリに使える大ネタを仕込んでネタ下しをする会。すでに『妾馬』、『三人旅』、『百川』をネタ下しして、今日は『小間物屋政談』。このあとも来月が『三軒長屋』、再来月が『夢金』だそうだ。

 ゲストは、今年5月に二ツ目昇進した三遊亭円丈門下の、ふう丈とわん丈。馬るこを交えてのトークからスタート。
 前座時代は、寄席では最低賃金以下の重労働ながら、落語会の手伝いに呼んでもらえば、かなりの収入になるんだそうで、しかも二ツ目昇進のご祝儀でそこそこ食えるものの、そのあとの仕事がない。馬るこの貧乏経験トークも笑えるが、実際のところ本人は大変な思いをしたのだろう。
 円丈門下とあって新作をやるようにと師匠から言われているが、営業ともなるとやはり古典をやらないと仕事がもらえない。悩むところだけれど、新作は一発当たると大きい。当分は新作と古典を、その場その場で使い分けていくしかないんだろうなぁ。
 というわけで、ふう丈とわん丈は、今日は二人とも新作だそうだ。

 三遊亭わん丈は、学校寄席で行った先で、校長先生がアレルギーを持った子供のため給食も含めて三種類を検食しなければならないことを知ったというマクラから『こじらせ親分』
 構成員の健康を考えて給食を始めようと考えた親分。給食の仕事を命じられて困った子分は一計を案じる。
 マクラの検食の話題をうまく噺に取り入れていて、これはよく出来ている。サゲに向かって、段々ギャグがエスカレートしていくのもいいなぁ。

 三遊亭ふう丈は、『ハゲ依存症』(?)。ハゲフェチの女性の噺。オチは読めちゃうかなぁ。

 鈴々舎馬るこは、新作というよりは古典の改作が上手い。『新・一目上がり』を聴くのは5年ぶり。もう結構忘れていたので新鮮だった。ジブリ、長渕剛と相田みつお、鉄道マニア、陶器と続く仕掛けは、モトネタの骨格だけ残して、ガラリと変えてある。こういうことをやらせると、今一番うまい人だろう。

 ネタ下しの『小間物屋政談』は、大きな改変はないが、それでもところどころ、いかにも馬るこらしい細かな改変やギャグが散りばめられていて面白い。もともとクライマックスになる最後のお白州の部分は無茶なところのある噺で、この噺を聴くたびに、「どうもなぁ」と思っていたのだが、馬るこはドタバタに持ち込むことによって、ちゃんと成立させてしまった。これだから馬るこの噺は侮れない。、

10月5日記

静かなお喋り 10月4日

静かなお喋り

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