マツモトクラブ単独ライブ ゆうやけ空 2018年6月3日 新宿シアターモリエール 最近のお笑い芸人は、とにかく騒々しい。それは漫才にもコントにも言えることだが、ピン芸人も例外ではない。 今年の『R-1ぐらんぷり』は濱田祐太郎が正統派の漫談で優勝したが、去年はアキラ100%の裸芸で騒々しかったし、その前の年のハリウッドザコシショウは騒々しいだけで残念ながら私には面白さが伝わってこなかった。さらにその前の年は、じゅんいちダビットソン。この人もテンションがやたら高い芸人で私はちょっと付いて行けなかった。 この四年間、毎回『R-1ぐらんぷり』の決勝に進出して、いまだに優勝を逃しているのが、マツモトクラブ。私はこま四年間、マツモトクラブの披露したひとりコントが、ほかのどの出演者よりも面白いと思い続けている。一言で言えば、これだけ騒々しい芸人が多いなかで、彼のコントは静かで、それでいて笑いが込み上げて来る、知的でクールな計算荒れたコントであるということ。バカをさらけ出したような騒々しさだけが売り物のお笑いよりは、彼の方が遥かに上だと思っている。 そのマツモトクラブの単独ライブに初めて行くことができた。 『のどじまんマンボ』 のどじまんに出て『お祭りマンボ』を歌う男。この男の前に歌って鐘ひとつだった男の呟きが入る。『お祭りマンボ』を歌う男は2番と3番の歌詞を憶えてなかったりするのだが、いつまでも演奏が止まらない。 『幾代』 夜中の公園で、女性に呼び出されて告白されたときのことを夢想する男。そこに警察官がやってきて職務質問を始めるが、その反応が女性からの告白を夢想したものとシンクロする。 『あおき』 テレビで一度観たことがあるネタ。終業後はひとりになりたい男。それを同僚の「あおき」が「奢るから」と誘って来る。色々言い訳をして断ろうとするが、突然今日は何の日かを思い出す。 『ストレス』 バッティングセンターでバットを振る男。この男はストレスを発散させるためにバットを振っているのだという解説のアナウンスが入る。 『ドリンクバー』 少年野球チームの監督。チームの少年の母親からファミレスに呼び出される。どうせ自分の子供を試合に出してくれと言う要求だろうと見当が付いているのだが・ 今回一番の長尺ネタ。長いだけでなく放送に乗りにくいネタでもあるので、まずテレビでは見られないだろう。これ、ファミレスの、あるあるネタでもあり、面白い。 『NEKO』 落語の『猫の皿』を現代に置き換えて、ひとりコントにしたもの。マツモトクラブにぴったりのネタになっていた。 『まさし』 腹話術の人形が勝手に喋りだす。 『むらこし』 昭和歌謡やJポップが流れるスナック。ほかのお客さんに迷惑をかけたというので「出禁」宣告をされてしまう「むらこし」さん。そんなに悪い人には見えないけれど可哀想な気持ちになるコント。 『こうしろう』 葬式。友人代表として弔辞を読む男。そこに酔っぱらった仲間が割って入って来る。 ひとりコント計9本。ハズレなし。長尺だけど好きなのは『ドリンクバー』とか『むらこし』。テレビでは無理かな〜。比較的短めでテレビ向きなのは『あおき』以外だと、『のどじまんマンボ』とか『幾代』あたりか。来年の『R-1ぐらんぷり』では、是非優勝してほしいな。 6月4日記 静かなお喋り 6月3日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |