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客席放浪記

神田松之丞新春連続読み
゛畦倉重四郎完全通し公演”第三夜

2017年1月6日
レフカダ新宿

第五話『金兵衛殺し』
第六話『栗橋の焼き場殺し』
第七話『大黒屋婿入り』
第八話『三五郎の再会』

 第三話で城富、そして大岡越前が出てきて、そっちの方に向かうのかと思いきや、噺はまた重四郎に戻る。
 栗橋の賭場で負けが込んだ重四郎と三五郎。賭場から出て三五郎から日よけのための扇を借りて歩く重四郎。賭場の売り上げを持って歩いている鎌倉屋金兵衛と手下三名の姿を目撃する。石ころで博打をしている手下から金兵衛が離れた隙をついて、金兵衛を斬り殺す。そして三五郎の扇を現場に残して逃亡。だから言わんこっちゃない。これじゃあ富右衛門の煙草入れを現場に置いて行った手口と同じ。しかも今回は仲間に罪を着せようというんだから、どこまでの悪党なんだか。
 異変を察し追いかけてくる三人の手下。重四郎は知り合いの熊坊主の住む破れ堂に逃げ込み、かくまってもらう。三人の手下に拷問を受けるも口を割らない熊坊主。やがて三人は諦めてその場を後にするが、重四郎は口封じのために熊坊主も殺してしまう。なんちゅうやつだ!
 金兵衛の葬式に呼ばれた重四郎、三五郎のいる場所を知っていると、手下だった三人を連れ出して焼き場の前まで来た時に、猛然と三人に斬りかかり、とりあえず一番腕の立つ浪人の腕を斬り落とす。あとの二人には、後ろからそっと近づいてきた三五郎が不意打ちを食らわせて仕留める。さらに浪人にはとどめをさすという策略。この場面の迫力たるやリアルでした。松之丞の格闘場面は、キチンと動きが頭に浮かぶところが凄い。
 焼き場にはこれまた知り合いの男彌十がいて、頼み込んで三人の遺体を焼き、骨を砕き、川に棄ててしまう。さらにはこの彌十さえ殺して焼いて砕いて川へ。
 「あいつら、どこへいっちまったんだろうなぁ」と白々しくうそぶく重四郎に、
 三五郎「お前が殺しちまったんじゃないか」
 「面白れぇな、さっきまで息してたやつが今はいない。何人殺したんだろう。忘れちまった。これから俺は何人殺すんだろうか?」
 このあたり、『冷たい熱帯魚』のでんでん、あるいは『凶悪』のピエール瀧かリリー・フランキーのごとし! 第五話、第六話で計六人、一気に殺しちゃった! お〜い大岡越前は何やってるんだ〜。もっとも六人とも、世の中のためにならないやつらばかりだけれど。いや、彌十は可哀想だよな〜。
 その場から別々に旅に出た重四郎と三五郎。重四郎は旅の途中で泊まった宿で、夫を亡くして身延山に供養に行った帰りだという、旅籠屋兼女郎屋、大黒屋の未亡人と知り合い、雨が降り続いて出立できないうちにいい仲になり、婿入りして大黒屋の主人になってしまう。この未亡人の演じ方も、松之亟、なかなかに色っぽいね。
 ある日大黒屋に、飛脚を襲い大金を奪った男が泊まっていると察した重四郎、男を逃がしてやると誘い出し、またもや斬り殺して金を奪う。うわーっ、また殺しちゃった。
 その年、三五郎が偶然に大黒屋に逃げ込んでくる。別れて数年。すっかり身をやつしていた。重四郎は三五郎に世帯を持たせるが、根っからの放蕩看。やがて重四郎に何かと金をたかる様になってくる。うわーっ、いかんよ三五郎、重四郎に殺されちゃうぞ! だって次の第九話のタイトルは・・・というところで続きは明日のお楽しみ。

1月7日記

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