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客席放浪記

神田松之丞新春連続読み『寛永宮本武蔵伝』四日目

2018年1月6日
CBGKシブゲキ

 昨日の第10話『天狗退治』の最後で登場した吉岡又三郎。武蔵との戦いが始まりそうなところで切れ場となってしまった。第11話のタイトルは『吉岡又三郎』だ。さあ今日はこの一戦からだと期待を持たせていたが、ありゃりゃ、なんと戦わずにスルー。おいおいと思っていたら、そのあと、ちょとした経緯があって、やはり戦うことに。二刀流の武蔵に向かうは小太刀の名手吉岡又三郎。
 『寛永宮本武蔵伝』は架空の人物と実在した人物が出てくるが、吉岡又三郎は実在した人物らしい。又三郎、強い。二刀流に対して小太刀とは絶対的に不利と思うのだが、武蔵も苦戦を強いられる。二刀以外に空を飛び、手裏剣まで手にする。しかし木剣の小太刀に対して手裏剣までとは、武蔵、強いんだかどうなんだか・・・。

 第12話『熱湯風呂』は、2〜3年前に前座さんが上がったときに聴いている。武蔵を仇と狙う一門が武蔵を泊めて歓待し油断させて風呂に案内する。着物を脱いで風呂場に入ったところで風呂場の戸に釘を打ち閉じ込めてしまう。風呂はといえば熱湯。その熱湯が武蔵にかけられる。武蔵絶対絶命というところで、前座さん時間なのか途中で切って下りてしまった。ずーっと続きが気になっていたのだ。ようやくこれでわかる。で、どうやってこのピンチを脱出したのかというと・・・書かないでおきましょ。

 第13話『桃井源太左衛門』。武蔵が入った居酒屋で、どこぞの道場の者が目下の者相手に自慢話ばかりしている。
 いや〜、いるものですな、こういう輩。傍で聞いていても気持ちいいものではないし、聞かされる仲間内はたまったもんじゃない。
 この自慢男、武蔵を見て勝負を挑みかねない様子。するとその場にいた老人が、あなたの道場の先生に会わせてくれと言い出す。道場に案内された老人は、道場主と素手で対戦。相手を倒してしまう。それを外から見ていた武蔵は。この老人に教えを乞うことになる。
 道場主の名が桃井源太左衛門。架空の人物ですな。そして老人の名はというと、伊東弥五郎。実在した人物。

 伊東弥五郎は、伊東一刀斎とも呼ばれる人物。次の第14話『甕割試合』には武蔵は出てこず、伊東弥五郎と、その弟子の小野善鬼と神子上典膳の物語。徳川家康に剣術指南役を頼まれた伊東弥五郎だが、弥五郎はこれを固辞。それならばと家康から誰か弟子を代わりに紹介してくれと言われる。そこで弥五郎は、甲乙つけがたい自分の弟子、善鬼と典膳のどちらを推挙するかで、あることを二人に試す。
 『吉岡治太夫』といい、『寛永宮本武蔵伝』りなかで武蔵の出てこない噺というか、武蔵がまったく関係ない噺の方が、「聴かせる」噺になっているというのが面白い。

 さあ、いよいよ明日は最終日、佐々木小次郎との対決だ。

1月7日記

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