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客席放浪記

神田松之丞新春連続読み 寛永宮本武蔵伝五日目

2018年1月7日
CBGKシブゲキ

 連続読みも今日で大団円。講談や浪曲は、長いものが多いから普段は抜き読みということになってしまい、全体像を理解することがなかなか不可能だ。
 それで連続読みは重宝だが、聴く側の毎日通うという行為も大変だが、それ以上に演者も体力がいる。松之丞くらい若くて体力のある講釈師がいてこそ、これが可能になるというもの。こういう機会はなかなかないから、また来年も連続読みがあるのなら聴きに行きたいと思っている。

 最終日の今日は残りの三席だが、三席とも尺が短いということで、『寛永宮本武蔵伝』に入る前に、もう一席、『天保水滸伝』のなかより第1話にあたる『相撲の啖呵』
 笹川の繁蔵が最初は相撲取りになるが、ある事件が元で相撲取りを辞め、侠客になるいきさつを語った一席。松之丞も言っていたが、これが昨年末にワイドショーを騒がせた、日馬富士の暴行事件とどこか被っているのが面白い。あちらはカラオケのリモコンで殴ったが、こちらは煙草盆。素手で戦っている力士が、喧嘩ともなると得物を持ち出すというのが興味深い。それにしても相撲界の体質は昔っから今に至るまで変わってないってことなんだね。

 さて、いよいよ『寛永宮本武蔵伝』の続きだ。第15話『山田真龍軒』は松之丞が寄席などでも、もっとも頻繁にかけているもの。武蔵の肩の振り分けの荷物が身体に当たったからと、突然に山田真龍軒との決闘が始まってしまう。山田真龍軒の使う得物は鎖鎌。吉川英治版でいうと宍戸梅軒。「卑怯な武器」というけれど、天狗昇飛切之術からの手裏剣投げという武蔵の得意技も卑怯な気がするけどな〜。

 第16話『下関の船宿』も、2年ほど前に前座さんで聴いているが、あのときは途中で切ってしまっていたかもしれない。いよいよ明日は船に乗って佐々木小次郎のいる小倉へ乗り込んで行こうと船宿に泊った武蔵。そこに泊り合わせた客とのやりとりが落語みたいに可笑しい。翌朝船に乗ったところでは『浮世床』の本の件に似たところも出てくる。そしてそこに佐々木小次郎の乗った船が通りかかる。擦れ違う船に武蔵が飛び移り、いよいよ島で対決といったところで切れ場。

 第17話『灘島の決闘』は仲入りを挟んでから。
 『寛永宮本武蔵伝』の佐々木小次郎は70代の老人というところがミソ。定刻に現れたふたりは対峙する。しっかしこの小次郎、老人といえども強い。しかし卑怯なのが『寛永宮本武蔵伝』に共通するところ。わざと老人とみせて弱いふりをする。そして武蔵に負けたと見せて襲い掛かる。武蔵危うし!
 そのあとは想像がつく、あの技で・・・って、ほんと、最後までマンガな武蔵でした。

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