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客席放浪記

メルシー!おもてなし〜志の輔らくごMIX〜

2016年6月8日
Parco劇場

 タイトル通り、立川志の輔の新作落語四席をミックスして一本の芝居にしたもの。主演は中井貴一とYOU。

 開演前に、中井貴一のアナウンスがあり、1973年に[西武劇場]としてオープンしたパルコ劇場が、8月に閉館し、43年間に渡った劇場の歴史に一度ビリオドが打たれ、また新たに作り直されることが語られた。思えば私もこの劇場には何度足を運んだことだろう。450席規模の劇場としては、こんなに観やすい劇場はなかった。たとえ後ろの方の席でも観やすいという、ちょっとほかでは考えられない構造をしていた。新しくなる劇場も、観やすさを追求した劇場になることを祈っている。

 そんなパルコ劇場の名物公演。毎年一月に行われてた立川志の輔の独演会からも、幾多の新作落語が生まれた。その中から、『メルシーひなまつり』、『ガラガラ』、『踊るファックス』、『ディアファミリー』の四席がモチーフ。

 メインになる噺が『メルシーひなまつり』で、あとの三席は、前半に、町の住民のエピソードとして描かれる。この部分がちょっと慌ただしく感じるのと、落語として聴いていたものが、生身の役者が演じることにに違和感を感じて、どうも入っていけなかった。落語では頭の中で登場人物が動いているから、ありえないと思える設定でも自然に面白がっていたものが、目の前で役者が演じると、なぜか白々しくなってしまう。

 後半は『メルシーひなまつり』一本に集中した構成で、私の方もようやくこの舞台に慣れてきた。軽演劇の人情喜劇のような味わいだから、劇場の雰囲気に合わない気がするのだが、それを考えなければ、誰にでもわかりやすい大衆演劇の世界。志の輔の落語でもクライマックスでは生身の役者たちが出てきて、人間雛飾りをやってみせたが、これはやっぱり、落語だけではこの面白さは出なかったところだろう。あの部分がをさらに膨らませて見せた演出は見事。

 ただ、ひっかかったのは、雛人形は日本橋まで行かないと見られないというくだり。あれは日本橋ではなくて浅草橋にしてほしかった。日本橋じゃあ見られません。

6月9日記

静かなお喋り 6月8日

静かなお喋り

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